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AIDMAとは?わかりやすく解説!他モデルとの違いや活用例を紹介

最終更新日:2024.02.09編集部
AIDMAとは?わかりやすく解説!他モデルとの違いや活用例を紹介

AIDMAとは?

AIDMAとは?

AIDMA(アイドマ)とは、消費者の購買行動を示すモデルのひとつです。このモデルは、商品やサービスに対する消費者の認知から購入に至るまでの心理的な過程を5つのステップで示すもので、以下工程の頭文字からとって「AIDMA」と命名されています。

  • Attention(認知)

  • Interest(関心)

  • Desire(欲求)

  • Memory(記憶)

  • Action(行動)

1920年代、アメリカで販売広告関連の実務書を執筆していた著作家のサミュエル・ローランド・ホール氏によって提唱されたもので、今日に至るまでマーケティング思考における基礎のひとつとされてきました。マーケティングの世界ではこのAIDMAモデルを基に、消費者の購買行動を理解し、適切なアプローチを計画するための重要な指標としても活用されています。

Attention:認知

Attention:認知

Attention=認知は、消費者が商品やサービスに初めて気づく段階を指します。この段階では、消費者は商品の存在を知るだけで、詳しい情報や特徴にはまだ触れていません。

認知を高めるための施策としては、プレスリリースを活用して新製品やサービスの情報をメディアを通じて広める方法が考えられます。また、ネット広告を使用して、ターゲットとなる消費者の目に触れやすくすることも効果的です。ほかにも、口コミを拡散してもらいやすいSNSの活用や、タクシー広告などのアウトドア広告も日常の移動中に多くの人々の目に触れるため、認知度を上げるのに役立ちます。

この「認知」の段階は、消費者の購買プロセスの最初の一歩となるため、ブランドや商品の印象を良好にすることが非常に重要です。

Interest:関心

Interest:関心

Interest=関心とは、消費者が商品やサービスに対して具体的な興味を持ち始める段階を示します。認知の段階を経て、消費者は特定の商品やサービスについてさらに知りたいと思うようになるのです。

具体的な施策として、TVCMでの商品の特長や利点の紹介、SNSでのリアルな使用感や評価の共有、ネット広告での詳細情報の提供などが考えられます。これらの施策を通じて、消費者の興味や関心を引きつけます。

Quote

あのドラマの主人公がつけていた時計って、どこのブランドだろう?

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SNSで見かけた新商品、評価が高いみたいだけどどんな特長があるのかな?

上記のような心理が生まれることで、さらなる情報を求める状態になります。この「関心」の段階での情報提供やアプローチの質が、次の「欲求」へと進むためのキッカケとなります。

Desire:欲求

Desire:欲求

Desire=欲求は、消費者が商品やサービスを実際に手に入れたいと強く感じる段階を指します。関心の段階で得た情報や知識が、具体的な購入の動機へと変わる瞬間です。この段階では、商品・サービスのメリットを具体的に理解してもらい、自分の生活やニーズにフィットするかをイメージできるようなプロモーションが重要です。

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あの新商品を使うと日常が便利になりそうなので、資料を取り寄せてみよう

Quote

CMで見たあの新メニュー、明日販売みたいだから買ってみたい

上記のように具体的な欲求を持つ状態を示します。この「欲求」の段階は、消費者の購買行動へ移行する重要な要素です。営業やマーケティングでは、よりキャッチーな訴求で欲求心理を刺激することが大切です。

Memory:記憶

Memory:記憶

Memory=記憶とは、消費者が商品やサービスに関する情報を心に留めておく段階を示します。この段階では、消費者が訴求された商品やサービスを忙しい中でも思い出せる状態であるとも言えます。

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先週CMで見たあの広告の商品、気になっていたけど買うの忘れてたな

上記のように、消費者は関心を示しても、全員がすぐ購入行動をとるわけでありません。そのため、記憶に残るマーケティングが重要で、リマインドを起こせる印象的な広告や体験を提供できるかが鍵になります。この「記憶」の段階での情報の質や提供方法は、消費者の購入行動に大きく影響します。

Action:行動

Action:行動

Action=行動とは、消費者が具体的な購買行動を起こす段階を指します。この段階では、消費者はすでに商品やサービスに対する強い欲求を持ち、それを手に入れるための行動を取ります。

オンラインショッピングであればカートに商品を追加し、購入ボタンをクリックする。実店舗であれば、商品を手に取りレジへと向かう。これらはAction=行動の具体的な例です。

購買を起こした後、さらに行動を促してもらうには、サービスの品質や接客の質、購入後のサポート・フォローが大切になります。リピーターになってもらうためには、細かなサービスを見直しながら、あらためてAttention=認知からのサイクルを回していくことが大切です。

AIDMAとAISASとの違い

AIDMAとAISASとの違い

AIDMAと似た言葉に「AISAS」があります。AIDMAとAISASは、どちらも消費者の購買行動を理解するためのモデルですが、生み出された背景や想定される心理ステップが異なっています。AIDMAは上述した通り、伝統的な購買行動モデルで、心理ステップはAttention(認知)・Interest(関心)・Desire(欲求)・Memory(記憶)・Action(行動)の5つです。一方、AISASのステップは、デジタル時代の消費者行動を反映したモデルで、Attention(認知)・Interest(関心)・Search(検索)・Action(行動)・Share(共有)の5つです。

TVCMや雑誌など、誰もが同じ形で情報を受け取れる媒体を通して発信することで、消費者は受動的に情報をインプットすることになります。この情報提供の形は、AIDMAの購買行動モデルに当てはまります。

AISASでは、関心を示した後、自ら知りたいことを検索し、さらにはその結果を共有する行動に移すことまで想定している点が、AIDMAと比べて能動的な消費者行動を意識していると言えます。

AIDMAはオフライン中心の時代に生まれたため、消費者が情報を受け取る一方的な流れを示していますが、AISASは消費者がアクティブに情報取得することを想定している点に大きな違いがあるのです。

AIDMAが適している商材とは

消費者行動は時代の変化にあわせて変わっていくため、新たな行動モデルも次々と提唱されていきます。そのため、AIDMAの考え方は古いマーケティングの思考だと言われることもあります。しかし、商材や業界によっては現代でも有効です。

考え方の例として、インターネット上でのコミュニケーションが重要なサービスの場合はAISAS、オフラインでの接点が多い商材であればAIDMAを使用する、といった使い分けができます。たとえばAISASにはないsearch(検索)が不要な、衝動的に購入できる商材はAIDMAが適しています。具体的には、コンビニのレジ横商品や単発で開催するセール商品などです。

関心を持った消費者の記憶に残るようなマーケティングを実施し、購入に直結させられるような戦略を考える際、AIDMAモデルは参考になると言えます。

AIDMAのマーケティング活用例

AIDMAモデルは、現代のマーケティング戦略においても非常に有効なフレームワークです。消費者の購買プロセスを理解し、それに合わせた施策を展開することで、より効果的なマーケティングが可能となります。このセクションでは、AIDMAを活用した具体的なマーケティングの例を紹介します。

ペルソナ設定

ペルソナ設定は、マーケティング戦略を策定する際の基盤となるものです。AIDMAモデルをフレームワークとして活用することで、ターゲットとなる消費者の詳細なプロファイルが明確になります。このプロファイルは「ペルソナ」として具体的にイメージ化されます。

ペルソナとは、年齢・性別・趣味・ライフスタイル・購買動機など、さまざまな要素を組み合わせて作り上げた顧客像のことです。このペルソナを基に、どのステージでどのようなメッセージ・コンテンツを提供すれば良いのかを考えることで、消費者の購買プロセスをスムーズに進められるのです。

AIDMAのステップに当てはめることで、詳細度の高いペルソナ設定が可能になります。詳細度の高いペルソナ情報をあらかじめ設定しておくことは、効果的なマーケティングを実現するための鍵となります。

マーケティング施策の策定

マーケティング施策の策定は、ビジネスの成功を左右する重要なプロセスです。AIDMAモデルを基にすることで、消費者の心理をベースに、タイミングに合わせた施策の策定ができます。

具体的には、ターゲットとなる消費者の「認知」を高めるための施策として、広告やPR活動を計画し、「関心」や「欲求」へ導くためのコンテンツ作成やプロモーションを考えます。消費者が商品やサービスに「記憶」してもらえるようなブランディングやリピート購入を促す施策を策定し、最終的に「行動」へと導くといったように、一連の流れとしてマーケティング施策を策定します。マーケティング施策を打つタイミングも、消費者心理をベースにすることで、適切に実行できるのです。

この一連の流れをしっかりと計画し、実行することで、効果的なマーケティング活動が展開できます。

AIDMAを活用した成功事例

AIDMAを活用したビジネスの成功事例を知ることで、自社のマーケティングの参考にできるかもしれません。ここでは以下3社の事例をご紹介します。

  • 檸檬堂(日本コカ·コーラ株式会社)

  • ドモホルンリンクル(株式会社再春館製薬所)

  • TSUBAKI(資生堂)

それぞれの会社がAIDMAをどのようにマーケティングに活かしているのか見てみましょう。

檸檬堂(日本コカ·コーラ株式会社)

檸檬堂

https://www.lemondo.jp/

檸檬堂」は、日本コカ・コーラ株式会社が販売する缶チューハイです。檸檬堂は、丸ごとすり下ろしたレモンとお酒をあらかじめ馴染ませた「前割りレモン製法」を採用している商品です。

檸檬堂では、コーラのイメージが強い日本コカ・コーラからアルコール飲料を販売することを発信したことで「Attention:認知」を高めました。次に、複数の味や独特のフレーバーを展開し、親しみやすいパッケージをデザインすることで消費者の「Interest:関心」を集めています。また、初期は九州限定で販売されていましたが、そこからSNSなどで話題になり、九州地域以外の方の「Desire:欲求」を刺激しました。

全国販売の開始にともない、TVCMを通じて商品を何度も訴求し「Memory:記憶」に残るブランドイメージを築き上げると、顧客が手軽に手に取れるようスーパーやコンビニなど身近な店に展開し、「Action:行動」につながりやすい戦略を実施しました。

ドモホルンリンクル(株式会社再春館製薬所)

ドモホルンリンクル

https://www.saishunkan.co.jp/domo/

ドモホルンリンクル」は、製薬会社の株式会社再春館製薬所が製造・販売する基礎化粧品です。年齢肌のためのスキンケアブランドで、肌本来の力を活かすように設計されています。

ドモホルンリンクルは、TVCMや雑誌広告を活用することで「Attention:認知」を獲得し、30〜80代までの幅広い年齢層を中心にブランディングを確立しました。製品の独自性や効果を強調することで「Interest:関心」を喚起し、商品のサンプル配布などで顧客の「Desire:欲求」を刺激しました。

さらに、店頭に大量に商品が並ぶことで「Memory:記憶」に残る取り組みを行ったことだけでなく、ダイレクトメールなどで、無料サンプルを使用した人向けのキャンペーン情報を配信しています。また、オンラインショップや専門店での販売促進も強化したことで、「Action:行動」へと導く戦略を展開しています。

TSUBAKI(株式会社ファイントゥデイ)

TSUBAKI

https://brand.finetoday.com/jp/tsubaki/

TSUBAKI」は資生堂から会社分割により譲渡された株式会社ファイントゥデイが展開するヘアケアブランドで、多くの女性から愛され続けています。

日本人女性の黒髪にターゲットを絞り、美しい映像と共に髪の健康美を訴求するTVCMを放送することで、TSUBAKIというブランドが確立され、「Attention:認知」を獲得しました。TSUBAKIの独自の成分や効果を紹介し、『日本の女性は美しい』という印象的なコピーで「Interest:関心」を集めると、商品の品質と効果を実感できるサンプル提供や体験イベントを実施することで「Desire:欲求」の喚起に成功します。

また、定期的な新製品のリリースやキャンペーンを通じて、「Memory:記憶」に残るブランドイメージを築き上げ、店舗やオンラインでの手に取りやすさを訴求することで「Action:行動」へ導いています。

まとめ

本記事では、AIDMAモデルの基本概念から、その具体的な活用例まで解説しました。マーケティングのプロセスを理解し、効果的な施策を策定するための指南として、AIDMAモデルは非常に有効です。AIDMAを理解することで、自社のマーケティング戦略の見直しや、新しい施策の策定に取り組めるようになるでしょう。

マーケティングを成功させるには、変化する市場に適応する考え方を持つ必要があります。本記事を参考にAIDMAに適した商材を選定し、柔軟な考えをもって施策を実行することが、成功への一歩につながります。

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