ビジネス

ブレインストーミングとは?効果的なアウトプットに繋がるやり方やツールを紹介!

最終更新日:2024.02.09編集部
ブレインストーミングとは?効果的なアウトプットに繋がるやり方やツールを紹介!

ブレインストーミングとは?自由な発想をもとに新しいアイデアや問題解決策を集める手法

ブレインストーミング

ブレインストーミングとは、参加者の自由な発想をもとに、新しいアイデアや問題解決策を集めるために行われる会議手法です。アイデアの評価や批判を避けて、自由にアイデアを発散することに注力する方法として、問題解決や新製品開発、ビジネス戦略立案、チームビルディングなどに広く活用されています。

このように、ブレインストーミングはビジネスの現場でもよく取り入れられているため、多くの人が一度は参加したことがあるのではないでしょうか?しかし、シンプルで取り入れやすい一方、進め方次第では結果的にあまり良いアイデアが出ないこともあるのではないかと思います。この記事では、ブレインストーミングのやり方はもちろん、効果的な成果を得るために重要となるポイントについて解説します。

ブレインストーミングはダブルダイヤモンドの「発散」フェーズに最適

そもそもブレインストーミングはどのようなタイミングで効果を発揮するのでしょうか?ここでは、デザイン思考における課題解決のプロセス『ダブルダイヤモンド』に沿ってブレインストーミングを取り入れるべきタイミングを紹介します。

ダブルダイヤモンドの2つのフェーズ

ダブルダイヤモンド

ダブルダイヤモンドとは、イギリスの英国デザイン協議会が開発したデザイン思考プロセスのモデルです。このモデルは、ダイヤモンド型の2つのフェーズ(発散フェーズと収束フェーズ)が連続した形をしていることから、ダブルダイヤモンドと呼ばれています。このモデルでは、デザインプロセスを以下の4つの段階に分けます。

1. 探索(Discover)

探索

プロジェクトのコンテキストや課題を理解し、リサーチを行います。この段階では情報を収集し、アイデアを広げることが重要です。

2. 定義(Define)

定義

リサーチから得られた情報を分析し、問題やニーズを特定、明確化します。この段階では、問題解決のために焦点を絞り込むことが重要です。

3. 展開(Develop)

展開

問題を解決するためのアイデアやコンセプトを生成し、それらを詳細化します。この段階では、再びアイデアを広げ、さまざまな解決策を検討することが重要です。

4. 提供(Deliver)

提供

最も効果的な解決策を選び出し、実装に移します。この段階では、プロトタイプやテストを通じてアイデアを具体化し、最終的なデザインを仕上げます。

デザイン思考のフレームワークとして知られるダブルダイヤモンドですが、その基礎となる「発散と収束を繰り返す」という点は、多くの課題解決のプロセスにおいて意識せずとも取り入れられているのではないでしょうか?このプロセスの中で、アイデアを広げる「発散」のフェーズにおいて、できるだけ多くの可能性を探求する方法としてブレインストーミングは力を発揮します。

「広く浅いアイデア」ばかり集まってしまう?ブレインストーミングの4つのルールとその弱点とは?

ブレインストーミングの4つのルール

一般的にブレインストーミングでは、参加者から広くアイデアを集めるために以下の4つのルールが設けられています。

  1. 他人のアイデアを批判・評価しない

  2. 自由にアイデアを出す

  3. 質より量に集中する

  4. アイデアに関連性を見つけてまとめる

これらのルールは、参加者が遠慮することなく自由に思いついた意見を発表できる環境を作るために特に重要となります。しかしながら、時間的な制約もあるブレインストーミングの場では、時にこれらのルールが逆効果となり「一般的」であったり「広く浅い」アイデアばかりが集まってしまうようなことが多くあります。では、参加者に自由な発言を促しながらもより、クリエイティブなアイデアを集めるためにはどのような点に気をつけると良いのでしょうか?

ブレインストーミングから効果的なアウトプットを得るために必要な2つのポイント

ブレインストーミングのよくある課題

ブレインストーミングの参加者はプロジェクトのメンバーやステークホルダーなど、時と場合によって様々だと思いますが、ブレインストーミングでは「課題に対する参加者の理解度が高ければ高いほど、質の高い成果が得られる」傾向にあります。極端な話、議題のトピックに関する専門家が集まってブレインストーミングをすると、質の高いアウトプットが得られそうですよね?

1. ブレインストーミングの目的と背景について参加者に正確に共有すること

ブレインストーミングの目的と背景について参加者に正確に共有すること

とはいえ、チームメンバー内で気軽に開催できることもブレインストーミングのメリットであり、基本的には様々なバックグラウンドを持った人がブレインストーミングに参加していることが多いのではないでしょうか?このような場合には、参加者に議題となるトピックに関する前提知識として、「ブレインストーミングの目的と背景について正確に共有すること」が大切となります。

  • なぜ、その課題を解決する必要があるのか?

  • 今までどのようなアイデアが検討されてきたのか?

ブレインストーミング開始時には、このような質問に参加者全員が明確に答えられることを確認してから実施すると良いでしょう。時間的な制約がある場合には、議題共有のためのセッションとブレインストーミングを2段構成として分けて実施するのも良いかもしれません。また、ブレインストーミング参加者の「当事者意識」を高めるためにも課題の背景をしっかりと共有することは大切です。また、今までブレインストーミングを主催してみて「参加者があまり積極的に参加してくれない」というような課題を抱えたことがある人は、「なぜ」を語ることが人を動かすというゴールデンサークル理論を参考にしてみると良いかもしれません。

2. ブレインストーミングのスコープを広げすぎないこと

ブレインストーミングのスコープを広げすぎないこと

ブレインストーミングの議題を可能な限り詳細に定義することも、効果的なブレインストーミングを行うために重要なポイントとなります。例えば、「新規事業のアイデアを考える」といった広いスコープでブレインストーミングを行なってしまうと「EC」「営業代行」「コンサルティング」など、アイデアというよりは「考えられるオプション」が集まってしまうことがよくあります。ブレインストーミングは自由に発想する場ではあるものの、議題のスコープを狭めるためにある程度の制約を前もって提示しておいた方が、より有効なアイデアを集めることができます。前述の例であれば

  1. 社内のエンジニアリソースを使用

  2. 運用コストが低いものが理想

  3. ヘルスケア分野で検討

のような簡単な制約を提示しておくだけで、より有効なアイデアが出やすくなります。自由な発想の場と制約というやや矛盾した関係のように見えるかもしれませんが、この制約をうまくつけることがブレインストーミングの成否を左右するといっても過言ではありません。

もちろん、制約をつけたからといってブレインストーミングの原則となるルールは変わりません。決められたスコープの中で自由な発想でアイデアを出すことで、本題からズレにくいブレインストーミングセッションを運営することができるのです。

ブレインストーミングにおけるファシリテーターの重要な役割は「軌道修正」

ブレインストーミングにおけるファシリテーターの役割

ファシリテーターとは、「進行役」のことです。ブレインストーミングにおけるファシリテーターの主な役割としては以下の3つがあります。

  1. 時間の管理

  2. 参加者に話を振る

  3. トピックから脱線しないように軌道修正する

特に、3つ目の「軌道修正」はブレインストーミングにおいて非常に重要な作業となります。明確なファシリテーターがおらず、全員が参加者として行う場合のブレインストーミングでは「他人のアイデアを批判・評価しない」という特性上、トピックからズレた方向性にアイデアが膨らんでいってしまうことが多々あります。ブレインストーミング中、参加者はアイデアを出すことに集中するため「目的を見失ってしまう」という現象が非常に起こりやすいのです。そこで、明確にファシリテーターの役割を設けた上で、議論がトピックや目的から大きくズレそうな時には、都度開催の趣旨や目的を参加者にリマインドして軌道修正するようにしましょう。

アイデアが出ないときに取り入れたいSCAMPER法

SCAMPER法

参加者としてブレインストーミングに参加したことがある人の中には、「アイデアが思いつかない」という悩みを抱えたことのある人も多いのではないでしょうか?ここでは、そのような場合に使える発想法、SCAMPER法を紹介します。SCAMPER法はコンサルティングの現場などでも取り入れられる「ロジカルシンキングの手法」であるため、ブレインストーミング以外の場面でもとても役立つ手法となっています。

SCAMPER法とは、以下の7つの問いの頭文字を取ったもので、アイデアを論理的に発展させるためのフレームワークです。ベースとなるアイデアをもとに、7つの側面からアイデアの発展形を探るもので、問いかけ形式で考えることができるため取り入れやすい手法です。

  • Substitute(何かで代用できないか?)

  • Combine(何かと組み合わせることはできないか?)

  • Adapt(他のものを応用できないか?)

  • Modify(どこかを修正することはできないか?)

  • Put to other uses(何かに転用できないか?)

  • Eliminate(何かを削減できないか?)

  • Reverse / Rearrange(何かを逆転したり組み替えたりできないか?)

SCAMPER法と使うと、自身が思いついた一つのアイデア、または他の参加者のアイデアをもとに、それらを発展させる形で新しいアイデアを生み出すことができます。例えば、新規事業に関するアイデアのブレインストーミングで「睡眠改善アプリ」というアイデアが挙がっていたとします。これをもとにSCAMPER法で考えると、「瞑想アプリとの組み合わせ(Combine)」や「睡眠改善のための情報サイト(Modify)」など新たなアイデアを挙げることができます。

KJ法を使ったブレインストーミング結果のまとめ方

KJ法とは?

ブレインストーミングではとにかくアイデアを出すことに集中するため、後でアイデアをまとめたり整理することが必要となります。アイデアのまとめ方としては「KJ法」を取り入れるケースが多いです。このKJ法は、前述のダブルダイヤモンドのプロセスにおいて、「収束」のフェーズにぴったりの手法です。

KJ法とは、雑多な情報を整理して多角的に分析するための手法で、考案者の人類学者である川喜田二郎氏のイニシャルから「KJ法」と名付けられました。海外でもよく知られた手法で、近年では主にビジネスにおけるミーティングやブレインストーミングにおいて、出てきたアイデアをまとめるための手法として注目を集めています。KJ法の流れは以下の3ステップです。

  1. アイデアをグループ化

  2. グループ間の関係性を視覚化

  3. まとめた情報を分析

KJ法を使うと誰でも簡単に情報をまとめることができます。しかし、ここで重要となるのは情報をグループ化するだけではなく、分析して意味を見出すことです。この分析に関しては、ブレインストーミングセッションの限られた時間内で進めるよりは、別途時間を確保してじっくり分析する方が効果的であると思います。

近年一般的になってきた、オンラインでのブレインストーミング

近年はオンラインでの会議の機会が増え、ブレインストーミングをオンラインで行うような場合も増えてきたのではないでしょうか?ここでは、オンラインでのブレインストーミング時に使えるツールとオンラインでの開催時に気をつけたいポイントを紹介します。

オンラインでブレインストーミングを行う場合に使えるツール

オフラインでブレインストーミングを行うときに必要となるものは

  • 模造紙やホワイトボード

  • 付箋

  • ペン

の3つがあれば基本的には問題ないですよね。オンラインで開催する場合はMiroなど、この3つを代替するものとして複数人が同時に書き込むことができるオンラインホワイトボードを使用すると便利です。参加メンバーのカーソルがリアルタイムで全員に見えるため、ボードを使いながら内容を説明するような場合にもスムーズです。

オンラインでブレインストーミングを行う際に気をつけたいポイント

オンラインでのブレインストーミングのデメリット

Miroをはじめとしたオンラインツールのおかげで、オンラインでもブレインストーミングを行うハードルはとても下がっています。「アイデアを出して共有する」という観点ではこのようなオンラインホワイトボードを使うことでほとんど問題なくブレインストーミングセッションを実施することができるのではないでしょうか?

しかし、オンラインで開催することによるデメリットもあります。それは、参加者同士の会話から生まれる偶発的なアイデアや発見が得られにくいという点です。オンラインでブレインストーミングを行うと、どうしても参加者同士の1対1の会話は行われず、「個別にアイデアを出す時間」と「全員で共有する時間」に別れてしまいがちです。オンラインでブレインストーミングを行う際には、このような弱点を補うためにファシリテーターがそれぞれのアイデアに対して会話を広げたり、参加者に話を振るといった工夫ができると良さそうですね。

まとめ

今回は、ビジネスの現場において広く取り入れられているブレインストーミングについて、そのやり方や効果的なアウトプットを得るためのポイントを紹介しました。「今までのブレインストーミングでは、一般的なアイデアばかり出てしまっていて次のアクションに繋がらなかった」というような方は今回紹介したようなポイントを参考にブレインストーミングを実施してみてはいかがでしょうか?

関連記事

Related Articles

最新の記事

Latest Articles

デジタルデザインの最新情報をお届け!

unprintedのメールマガジンにご登録いただくと、デジタルデザインの最新情報をメールで受け取ることができます。今までに配信したバックナンバーも公開中!

※登録ボタンを押すと利用規約に同意されたものとします。