
最近、私は会社のマーケティングチームと協力して、デジタルアクセシビリティについてのドキュメントを作るお手伝いをしました。これは、私が以前「コ・デザイン」というプロセスを用いて取り組んだ「My CP Guide」というアプリでの成果が評価されたためでした。
「My CP Guide」というアプリは、脳性麻痺を持つ人たちやその家族、支援者、コミュニティ、そして一般のサービスを利用する人たちに、信頼できる情報やサポートを提供するためのアクセスしやすいプラットフォームを目指して作られました。
「My CP Guide」の「CP」は、英語の「cerebral palsy(脳性麻痺)」の略語です。私は「My CP Guide」のデザインプロセスにおいて、ブランディングやユーザーテスト、フェーズ2のUXUIデザイン、またアクセシビリティの改善に携わりました。
デジタルアクセシビリティについてのドキュメント制作のために、マーケティングチームからは「脳性麻痺を持つ人たちをどのようにプロダクト開発に関わらせたか」と「アクセシビリティと包括性の重要性について学んだポイント」を共有するように依頼されました。今回は、この内容を踏まえて「My CP Guide」の制作において、コ・デザインを用いて周囲の人たちと一緒にデザインを進めた経験、そしてその重要性や実際に感じたことなどを共有したいと思います。
Nokoです。メルボルン在住のプロダクトデザイナーで、リモートで仕事をしています。 過去8年間は、ブランド戦略、エクスペリエンスデザイン、ビジュアルデザイン、モーションおよびイラスト、アクセシビリティデザインなどのデジタルデザインの様々な分野で仕事をしてきました。現在は、Two Bulls/DEPTでシニアプロダクトデザイナーとして、様々な国際的なデザインプロジェクトに取り組んでいます。
法律による規制も進むアクセシビリティの大切さ
アクセシビリティ(Accessibility)とは、みんなが情報にアクセスできるようにすることを意味します。例えば、身体に障害を抱えている人や、お年寄りなど、異なる能力や状況を持つ人々がサービスなどを利用できるようにすることです。みなさんも「#a11y」というハッシュタグや「ally(アリー)」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。#a11yは、ウェブ開発の中で「アクセシビリティ」を意味する言葉の省略形です。
英語圏でアクセシビリティの恩恵を受ける人々には、私のような人も含まれます。
私は学生として海外に留学をしたのですが、最初はほとんど英語が話せませんでした。職についてからも日々苦労しまし た。デザインのフィードバックをもらうときに、簡単に理解できるものもあれば、難しい言い回しで完全に理解ができず、作業に時間がかかってしまうこともありました。私のようにネイティブスピーカーではない人、また読み書きの能力が低い人は、シンプルな英語でわかりやすいコンテンツを読むことを好みます。
このような「シンプルな英語でわかりやすいコンテンツ」も一つのアクセシビリティです。このようにアクセシビリティが良いと、さまざまな人に恩恵があります。例えば、Dribbbleや、その他のデザインサイトで必要な素材、テンプレート、情報を早く見つけたい忙しい時。「OK Google」と言って、スマートスピーカーなどの音声認識ツールを使ってタイマーをセットしたい時。飛行機の中など、少々騒々しい場所で字幕付きで映画をみたい時など。そして、私たちの能力は年齢によって変化します。だからこそ、多くの人々がウェブアクセシビリティの恩恵を受けるのです。
現在では、アクセサビリティを保つことがルール化されて、その規制を守らない場合は罰せられるような事例もあります。例を挙げると、2019年に、Beyoncéのウェブサイトがアメリカ障害者法を違反したために訴えられました。それは視覚障害者が彼女のWebサイトでチケットを購入できなかったためです。
私の住むオーストラリアでも、Webサイト上で商品やサービスを提供する組織や企業は、障害者差別法の対象となります。この法律は、障害を持つ人々が他の人と同じ機能的なアクセスを持つことを求めています。
しかし、残念ながらアクセシビリティを考慮するためには、追加の労力やお金が必要なことがあります。限られた時間や予算の中で他の重要なことが優先されてしまい、アクセシビリティについては後回しにされてしまうことがよくあります。
私たちデザイナーが障害を生み出している?障害に対する考え方の変化
https://www.mycpguide.org.au/
「My CP Guide」プロジェクトでは、ユーザーの多くがさまざまな障害を持っているので、Webアクセシビリティの優先度を高くして取 り組むことができました。私たちは、このプロジェクトを通してWebアクセシビリティに関する多くの基礎を学びながら、Webサイトを誰でも使いやすく、WCAG 2.1 AAの基準にも対応することに取り組みました。
プロジェクトの中で、私たちのストラテジー・デザイナーであったシューが次のように述べました。
さまざまなデザインをする上で、障害のある人々のニーズを無視すると、社会的な壁を築くことになる。障害は、その人自体が問題なのではなくて、私たちが作り出すバリアや制約によって社会の中で平等に参加できない状況を指しているんだよ 。
これをきっかけに、私たちデザイナーが使いにくいデザインを作るということが、障害を生み出しているのだと気付かされました。
シューは私のアクセシビリティ・メンターになりました。彼女は、私たち社員全員の障害に対する認識を高めるために、私たちのSlackチャンネル内で特設チャンネルを作ったり、社員の障害に関する知識を向上させるために、様々な障害を抱えたスピーカーのトークを紹介してくれました。
「My CP Guide」に関わりアクセシビリティやインクルーシビティをしっかりと学べたことは、とても幸運に思いました。それは私の個人的な体験からそう感じているのだと思います。海外で生活していると、疎外感を感じることがあります。
例えばネイティブの仲間とグループで会話するときに、難しいトピックになると私は聞き手に回ることが多いです。そんなときに「私だけ会話に参加していないな」と思ったりすることがあります。
このような体験をしていることも、このプロジェクトに携わる上で重要なポイントでした。私自身が外国人としての立場でいるということは、言語や文化の違い、社会的な差異などからさまざまな困難に直面した経験があるので、ユーザーが同様の感情や困難を抱える場合にも共感しやすくなります。私は、最初はこのプロジェクトの一員ではなかったのですが、こう言った経験があるのを私のデザインリードは理解してくれているので、障害を持つ方々が私に共感をしてくれるだろうということでチームに加わることになりました。
そして、最後に忘れてはいけないことは、私たち自身が障害を抱える可能性もあるということです。障害はさまざまな形で現れます。具体的には、身体的なけがや加齢に伴う問題、健康上のトラブルなどがあります。
アクセシビリティは人権であり基本的な価値なので、誰もが含まれることが重要です。障害のある人々を含めることで、社会的な交流や地域の活動への積極的な参加の機会が大幅に増え、多くの人の幸せに繋がっていくのです。
ユーザーのニーズを理解するために何をしたのか?
私は 最初のデザインフェーズでブランドのデザイナーとして関わりました。まず、一番大切に感じたのが脳性麻痺を持つ人たちと介護者のニーズで、また個々の制約を理解することです。
最初のステップは「インセプション」次に、「ビルド」ステップ、最後に、「メンテナンス & 持続可能性」ステップを設定しました。「インセプション」では、4週間の調査と戦略の取り組みが行われました。このステップでは、製品とその利用者について深く理解するために重要な情報を得ることを目指しました。
最初のキックオフミーティングにはCP Australiaに関わる15人の関係者とオンラインワークショップを計画し、実施しました。クライアントはプロジェクトのすべての段階で開発とテストにコ・デザインアプローチを求めました。
コ・デザインの目的は、ユーザーのニーズや要求をより正確に把握し、より良い製品やサービスを提供することです。参加者が積極的に協力し合い、相互に学び合うことで、より創造的な解決策が生まれることが期待されます。
最初のステークホルダー・ワークショップでは、エンド・ユーザーをどのように巻き込むかについて話し合いました。その後、デザインプロセスにおいて、顧客の声を重視するために、脳性麻痺の人たちや介護者のユーザーインタビュー、またVoice of the Customer(VoC)を行い、彼らの意見やニーズを収集し、また分析しました。また日常生活や課題、将来の目標なども把握するように心がけました。
VoCを行ってわかったことは、脳性麻痺の種類やレベル、年齢によってさまざまなニーズが存在するということです。例えば、脳性麻痺を持つ子供の親は、子供の成長や学習、将来に関して日々悩んでいます。若者は、人間関係や特に恋愛において、自分を受け入れてくれる相手を見つけることへの不安を抱えてい ます。また、中年層は老化に対する不安を強く感じています。またセックスヘルスについてのトピックは、依然として敏感な話題であるため、配慮が必要でした。しかし、セックスヘルスに関連するトピックは、インクルーシブの観点から見ても重要なトピックであることは明白でした。
これらのさまざまなニーズや、意見、そして目標に沿ってデザインをするために、消費者諮問グループ(Consumer Advisory Group)をもうけました。そして当事者の意見や助言をたくさん求めたのです。
このグループには、脳性麻痺を持つユーザーの方々やその家族、アクセシビリティの専門家などがいます。彼らは、アプリの品質向上のために集まり、彼らの視点や意見を集めました。私たちは彼らに、他の人たちの声を代表して私たちと一緒に話し合ってほしいとお願いしました。また、ネガティブなフィードバックも役に立つことが多くあることを伝えました。
そして脳性麻痺を持つ人たちを巻き込んでデザインを進めるにはどうしたらいいのか、基礎から考えました。より幅広いアイデアや視点を求め、少なくとも7人のデザイナーがこのプロジェクトに参加し、多様な視点を取り入れるように心がけました。そして何度もデザイナー内でのワークショップを開催しより創造的で、また革新的なソリューションを模索しました。
コ・デザイン の旅が始まる
https://www.mycpguide.org.au/
これらのインタビューやワークショップの実施中に、私たちはいくつかの注意点に気をつけました。例えば、ワークショップや、ミーティングをする時間帯です。
脳性麻痺を持つ人々は、個人によって異なる体力やエネルギーレベルを持っています。そのため、一般的な疲れやすい時間帯は特定できません。しかし、筋力の低下や運動制御の困難など、脳性麻痺の特徴的な症状がある場合、日中の活動が長時間続くと疲れやすくなることがあります。そのため、ワークショップなど、時間が長引きそうなものはなるべく午前中に行うようにしました。
それから私たちも「ちょっと疲れた」と感じるようなワークショップは、障害を持つ参加者にとっても非常に疲労を引き起こす可能性があります。そのため、活 動全体の時間を短くしたり、定期的に短い休憩時間を設けたりしました。
またワークショップがかなりのエネルギーを消化して、とても疲れるという声もあったので、ワークショップや、ミーティングを必ず1時間以内に終わらせる、短めに設定する代わりに、頻繁に行うようにしました。
また、初期にワークショップをした時に、一人の人が知らず知らずのうちにオンライン会議から退出していたことに気づきました。後で彼の理由を聞くと、彼はあまり話す機会がなかったために興味を失ってしまったそうです。
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進行役は、みんなが同じくらいの頻度で発言できるように、あまり話していない人に少し多めに意見を求めたりと気を配りました。また参加者が積極的に参加できるインタラクティブな方法を取り入れることもしました。グループディスカッションやワークショップ、フォームや、ユー ザビリティテストやユーザーエクスペリエンスの調査を支援するデザインツールMazeを使用してみたり、異なる方法を組み合わせることで、参加者がより関与しやすくなるように心がけました。
私たちは、他の場面でも、それぞれの個別のニーズに合った適切なコミュニケーションを心掛けました。例えば、コンセント・フォームなどの資料をシンプルに書き直し、必要な情報を簡潔にまとめ、ユーザーテストがスムーズに進めるように心がけました。
Eメールの場合も同様に、私たちは重要な部分を強調し、分かりやすく伝えるように心掛けました。また、リマインダーも分かりやすく、シンプルでフレンドリーな言葉を使うように心がけました。脳性麻痺の方々は、文字の解釈や文章の理解に苦労することがあります。だからこそ、明確で簡潔な言葉を使い、必要な情報を強調することで意図が伝わりやすくなるようにしたのです。
さらに、私たちは普段より多くのコミュニケーションを取り、脳性麻痺の方々のニーズをより深く理解する努力をしました。先ほども述べたように、脳性麻痺にはさまざまなタイプや程度があります。例えば、ある女性は混合型の脳性麻痺で手足を使用できず、鼻先でアプリを操作していました。彼女にユーザビリティテストを依頼した際、ズームでリンクを共有したところアクセスできなかったため、テスト中にそのリンクをメールアドレスに送る必要がありました。この手続きには15分ほどかかってし まいました。また、別の若い女性は口腔顔面脳性麻痺を抱えており、発声が困難であったため電子音声生成装置を使用していました。彼女に対してオープンエンドの質問をするのに非常に時間がかかり、彼女に不安を与えてしまいました。
私たちはプロトタイプでのテストを控え、実際のプロダクトに近いビルドを使用してテストを行いました。最近では、Figmaもアクセシビリティの改善に取り組んでおり、2020年当時と比べてプロトタイプのアクセシビリティが大幅に向上しています。
https://www.mycpguide.org.au/
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これらの経験は、私たちにとって貴重な教訓となりました。事前に使用されるアシストデバイスなどの情報を知っていたとしても、実際にテストを行わないと分からないことがたくさんあります。そのため、私たちは異なる要素を考慮しながらデザインを進める必要があることを学びました。
さまざまなことを考慮することで、脳性麻痺を持つ人々がより快適に参加できる環境を整えることができました。ミーティングや、ワークショップの後で、それに対してのフィードバックを求める機会も多々ありました。このように、参加者の個々のニーズに敏感に対応することは、包括的で包括的な参加体験を提供するために不可欠でした。少しずつ改善を加え、繋がりができてくると、メンバー内に信頼感も生まれ、お互いにコミュニケーションを取り合い、協力して関係を築く重要な場となりました。
みんなで作ったブランド
ブランドの方向性については、ステークホルダーとのワークショップや消費者諮問グループに、多くのキーワードを出してもらい、その中からブランドの方向性、ブランド名、ロゴなどを一緒に制作していきました。
私たちは、脳性麻痺の人々に向けたブランドデザインを考える際に、いくつかの大切な言葉を念頭に置きました。その言葉には「思いやり」や「力強さ」「信頼性」「多様性」「共感」「自立」「包括性」などがあります。
脳性麻痺の人々を思いやる気持ちや、彼らが困難に立ち向かう力強さ、私たちが信頼できる存在であること、さまざまな人や考え方を尊重すること、他人の気持ちに共感すること、そして自分で自立して生活する力を持つことが大切です。
私たちは、これらのキーワードを考慮しながら、脳性麻痺の人々に向けたブランドデザインを進めました。そして、ムードボードや、デザインのプロセスを何度も彼らからフィードバックを求め、できるだけ包括的なブランドを作ることを心がけました。
色
最終的に、私たちは力強さと安定感、信頼性を表現するため、濃い紺色をプライマリーカラーとして選びました。この色がアクセシビリティテストでWCAG AAAにも適合することも確認しました。
この力強い色は、彼らが自立した生活を送れるように支援したい気持ち、また彼らの困難さや挑戦に対する理解を示したいと思ったことにも関係しています。
脳性麻痺の方々は、日々の生活や社会参加において困難を克服しています。私たちのブランドで彼らの強さや成果を称える要素を取りたいと思ったので、セカンダリーカラーとして3つの鮮やかなアクセント色を選び、多様性を表現し、ユーザーの個性を反映させ、パーソナライズされた体験を提供することにしました。太陽のような黄色は明るい未来を表現しています。
タイポグラフィ
まず「読みやすさ」が備わっているデザインを探しました。どのフォントがすべての人にとって読みやすいかは一概には言えませんが、文字の形状や配置、文字間のスペースなど、いくつかの要素が特定の人々にとってタイポグラフィをより理解しやすくすることがあります。また読みやすさを向上させるために特別にデザインされているフォントもあります。Poppinsフォントは、シンプルでモダンなデザインが特徴です。また直線的な形状や円弧を多く使用しており、「思いやり」や「共感」「包括性」などのキーワードがカバーできていると考えました。また、視覚的または認知的な障害を持つ 人々にもなどにもフレンドリーなフォントとして知られています。
イラスト
円形の形は、完全性や調和を表現するために使用されています。また、包括性はこのアプリケーションの最も重要な価値観の一つです。包括性は、異なる背景や能力を受け入れ、尊重することを意味します。私たちは、円形が個々の多様な要素が一体となり、より強力で持続可能な結果を生み出すことを象徴していると考えました。
ロゴ
ロゴの選択においては、最終的に花のような形でCとPという文字を組み合わせたデザインを選びました。この丸い形状で、優しさや思いやりを表現したかったのです。さらに、CとPという文字はライフパス(人生の道筋)を象徴しています。
これらのブランディングは、フィードバックと反復のプロセスを経て、最終的なデザインを決定します。これにはチームの合意や関係者の承認が必要でした。結果として、脳性麻痺の方々の多様なニーズや包括性、異なる能力などを表現することができていると感じています。
アクセシビリティの改善も一緒に
最初の開発期間では、アクセシビリティに関するタスクに重点を置きました。私たちは、アクセシビリティ基準に準拠し、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が使いやすいソフトウェアとウェブページを利用できることを確認するために、アクセシビリティテストを何度も行いました。障害を持つ人々は、複雑な補助技術を使用しています。例えば、身体的な制約がある人々や視覚や、聴覚の障害を持つ人々、認知障害を持つ人々などがオンラインデバイスを利用する際にも、私たちのサイトが使えることを確認しました。
チームはデザインプロセスの始めから配信プロセスの終わりまでアクセシビリティ評価を行いました。これにより、私たちの作業が一貫していて品質が保たれることを確認しました。例えば、キーボードだけでナビゲーションメニューを操作できるようにしました。タブキーを使用してメニューアイテム間を移動し、エンターキーを使用してアイテムを選択できるようにしました。
また、ホバーメニューなどは、全てのユーザーが使いやすさを確保できないため、意図的にシンプルなメニューデザインを選択しました。そして、ユーザーからの声をきき、ユーザーに現在のページの位置や階層構造をわかりやすく示す、パンくずリストを付け加えました。これにより、より簡単にウェブサイト内の情報にアクセスできるようになりました。
フォームには入力方法を広げ、自動入力に変更、視覚的なヒントや言語も適切に取り扱いました。またコピーやマイクロコピーも、消費者諮問グループの方々と一緒に書きました。
また、プロジェクトの初期にはレイアウトが複雑な箇所が何箇所かありました。私たちは、特に目で追跡する技術などのアシスティブテクノロジーを使っているユーザーに注目し、どのようにデバイスを使っているのかをより良く理解しました。それから、何回かユーザー調査やABテストを行い、改善点を見つけ、2コラムを1コラムに変更したり、余白スペースなどを増やすなどをしてデザインをシンプルにすることにしました。コンテンツのリーディングオーダーには特に注意が払われ、コンテンツが読みやすくなるように、意味のある順序で配置されました。
さらに、私たちは情報を伝えるためのさまざまな手法を試みました。言語理解や学習、読解に困難を抱える人々は、コンテンツを理解し必要な情報にアクセスするために、シンボル、アイコン、またはイラストに頼ることがあります。同様に、言語障害を持つ人々は概念を理解する能力はあるものの、言語に苦労することがあります。
彼らも同様、情報を見つけるためにイラストやアイコンを頼りにすることがあります。さらに、高齢者の方々にとっても、明確なシンボル、アイコンなどの案内標識として機能する画像は非常に有用です。
また「EasyEnglish」を取り入れ、簡単な英語の表現や文体を目指しました。これは、英語が第二言語として学ばれている人や言語の理解が難しい人々に対して、より分かりやすくコミュニケーションをするための方法です。EasyEnglishでは、短く明確な文を使用し、複雑な文法や専門用語を避けることが一般的です。また、図やイラストを使った視覚的なサポートや、容易に理解できる文体や表現の使用も重要な要素です。EasyEnglishの目的は、コミュニケーションの壁を取り払い、より多くの人々に情報やメッセージを届けることです。
さらに、アクセシビリティの向上には、キーボード操作やスクリーンリーダーとの互換性も重要ですe。これにより、利用者はマウスを使用せずにサイトを操作したり、視覚障害のある方のために画面の情報を音声で読み上げられるように改善しました。
これらの変更は、消費者諮問グループのメンバーと協力して決めました。たとえば、アクセシビリティの改善と思われるデザインの変更も、実際にテストしないと効果がわかりません。反響がほとんどない場合は、実施しないなど、消費者諮問グループの意見を重視しました。
まとめ
プロジェクトを成功させるためには、誰もが参加しやすい方法で作り上げる必要があります。年齢や能力に関係なく、誰もがアクセスできるように心掛け、子供たちでも理解できるようなやさしい言葉で説明すると良さそうです。
このよ うなプロジェクトを進めるには、参加型で構造化されたアプローチが必要です。障害を持つ人たちもデザインプロセスに参加できるようにした上で、実際のユーザーのニーズを把握し、何度もテストすることが大切です。それによって、さまざまな人たちの多様なニーズを考慮し、より良いプロジェクトにすることができるのではないでしょうか?
Nokoです。メルボルン在住のプロダクトデザイナーで、リモートで仕事をしています。 過去8年間は、ブランド戦略、エクスペリエンスデザイン、ビジュアルデザイン、モーションおよびイラスト、アクセシビリティデザインなどのデジタルデザインの様々な分野で仕事をしてきました。現在は、Two Bulls/DEPTでシニアプロダクトデザイナーとして、様々な国際的なデザインプロジェクトに取り組んでいます。
https://nokowashiyama.com/