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アーリーアダプターとは?獲得方法とイノベーター理論の5つのグループを図解

最終更新日:2024.05.16編集部
アーリーアダプターとは?獲得方法とイノベーター理論の5つのグループを図解

アーリーアダプターとは?

アーリーアダプターとは?

アーリーアダプターとは、イノベーター理論における5つのグループの一つで、新しいプロダクトやサービスを積極的に開拓し、比較的早い段階で取り入れる人々のことをさします。新しいものを試すのと同時に、積極的に口コミを書いたり、周りに薦めることが多いことも特徴であるため、アーリーアダプターに受け入れられることがプロダクトやサービスの市場浸透のための重要な鍵となります。

イノベーター理論とは?

イノベーター理論

アーリーアダプターという言葉は、1962年に社会学者のエベレット・ロジャースが著書「イノベーション普及学」のなかで提唱した「イノベーター理論」に登場する言葉です。イノベーター理論とは、人々を行動特徴に基づいて5つのグループに分け、それぞれのグループにアイデアや技術がどのように浸透していくのかを分析した理論です。イノベーター理論は普及学とも呼ばれ、ビジネスの世界でも、新たなプロダクトやサービスを世の中に浸透させるための戦略の基礎として注目されています。

イノベーター理論における5つのグループ

イノベーター理論における5つのグループは、それぞれのグループに属する人の割合と、その層に普及するまでの時間をもとに次のような図で表現されます。この図を見ると、初めにサービスを受け入れるのは「イノベーター」と呼ばれるグループで、社会(または市場)全体における割合は少ないことがわかります。これが、「アーリーマジョリティ」にまで普及し始めると、一気に普及率が高くなります。近年のビジネス戦略では、この5つのグループを意識しながらプロダクトやサービスが今どの層に普及している段階なのかを分析します。

イノベーター(革新者)

イノベーター

イノベーターは、一言で言うと「新しいもの好き」な人たちです。発売したばかりで、口コミも存在しないような商品にも積極的に手を出します。「新しい」こと自体に魅力を感じているため、長期的な顧客とはならない場合も多く、他の新しいものが出るとそちらに流れていってしまう場合もあります。この層は、全体の2.5%程度存在すると言われています。

アーリーアダプター(初期採用者)

アーリーアダプター

アーリーアダプターは、積極的に新しいものを試す点ではイノベーターと似ていますが、イノベーターよりも「実際に良い商品かどうか」を重視します。つまり、新製品が出たらいち早くその「効果」を試したいと思っている人たちがアーリーアダプターです。この層は、口コミやレビューにも熱心で、良いものを見つけると周りに薦めてくれるという特徴があります。この層は、13.5%と全体から見ると少ないものの、口コミによって他の層にプロダクトが普及するきっかけを作ってくれるため、アーリーアダプターの満足度を高めることは非常に重要な戦略となります。

アーリーマジョリティ(前期追随者)

アーリーマジョリティ

アーリーマジョリティは、自分から積極的に新製品を試すことはないものの、「流行」しているものには敏感で、一般に普及しているものは積極的に取り入れようとします。必要のないものは買いたくないと考えているため、口コミを重視することもこの層の特徴です。全体の約34%と多くの割合を占め、このアーリーマジョリティへの浸透が「プロダクトやサービスが普及している状態」の一つの指標となります。

レイトマジョリティ(後期追随者)

レイトマジョリティ

レイトマジョリティは、保守的で新しいものをあまり取り入れようとしません。常に、「最も普及しているもの」を利用する傾向があり、新たな流行も周りの多数派が利用していると感じるまでは手を出しません。市場に浸透していないプロダクト・サービスをレイトマジョリティに購入させることは難しく、レイトマジョリティ攻略のためには市場への浸透が必須条件となっています。

ラガード(遅滞者)

ラガード

ラガードは、5つのグループの中で最も新製品の導入が遅いグループで、そのプロダクトやサービスを利用することが「避けられない状況」におかれるまでは、採用することがないという特徴があります。この層への普及のためには、実績と安心感が重要となります。

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アーリーアダプターの重要性

この5つのグループの中でも、多くのビジネスにとってとりわけ重要となるのがアーリーアダプターの獲得です。まだ、世の中に浸透していない状態でもサービスを試してくれる可能性があり、さらには気に入ってもらえれば口コミなどで他のユーザーへの浸透にも貢献してくれます。また、モバイルアプリやWebサービスにおいては、PMF(プロダクトマーケットフィット)を目指すプロダクト開発初期には、このアーリーアダプターの要望やニーズをうまく取り入れながらプロダクト開発を行うことが重要となります。

アーリーアダプターの見つけ方

Product Hunt

https://www.producthunt.com/

初期状態のプロダクトを試して有用なフィードバックをくれるアーリーアダプターを見つけるためにはいくつかの方法がありますが、その一つ目が「アーリーアダプターが集まるプラットフォームを利用すること」です。例えば、Product Huntは、シリコンバレーで生まれた、新しいプロダクトをキュレーションしているWebサイトです。Product Huntには、新しいもの好きのアーリーアダプター的性質をもった人が集まっており、日々新たなプロダクトを探しています。他のユーザーからアイデアをもらったり、実際にProduct Hunt経由でプロダクトの利用を開始してもらえるケースも多いです。Product Huntへの投稿は誰でも行うことができるため、ぜひ一度試してみてはどうでしょうか?

他にも、「口コミやレビューを書いてくれる」というアーリーアダプターの特性から、サービス内にフィードバックフォームへの導線を設けておくこともアーリーアダプターを見つけるために需要なポイントとなります。例えば、新たにモバイルアプリをリリースする際には、App StoreやGoogle Playでレビューを貰いやすい仕組みになっているか確認すると良いでしょう。新規サービスの初期段階でプロダクトを利用してくれるユーザーのフィードバックは、PMFを目指す上でも非常に重要な情報となります。

普及率16%の論理とは?

普及率16%の論理とは?

アーリーアダプター攻略の重要性は、普及率16%の論理においても語られています。普及率16%の論理とは、新たな商品やサービスを浸透させるにはまず「初期市場」を構成するイノベーターとアーリーアダプターの合計である市場の16%に普及させることが重要であるという理論です。まずこの2つのグループへの浸透に成功して初めて、本格的な市場展開ができるという考え方になります。この16%への浸透が新製品開発においては一つのマイルストーンとなります、このマイルストーンを達成した後に待ち構えるのが次に紹介する「キャズム」です。

キャズム理論とは?プロダクト浸透のために乗り越えなくてはならない壁

キャズムとは?

キャズム理論とは、イノベーターとアーリーアダプターから成る「初期市場」とアーリーアーリーマジョリティ以降のグループからなる「メインストリーム市場」の間に「キャズム」と呼ばれる深い溝があり、一般社会へとサービスを浸透させるためにはこの溝を乗り越える必要があるという理論です。この深い溝のことを、「キャズム」といます。

キャズムが発生する理由

キャズムが発生する理由

キャズムが発生する原因は、初期市場とメインストリーム市場の間で顧客の購買プロセスが大きく異なることにあります。前述のアーリーアダプターとアーリーマジョリティの定義を比較すると分かるとおり、初期市場の顧客は、積極的に自ら新しいプロダクトを試すのに対し、メインストリーム市場の顧客はより「安心感」を求める傾向にあります。つまり、目新しさを売りにしてプロダクトを販売していると、ある時を境に新規顧客が獲得できなくなります。これが、普及率16%を達成した段階であり、さらに普及率を高めるためにはメインストリーム市場の顧客にアプローチすることが求められるようになります。

キャズムを乗り越える方法

キャズムを乗り越える方法

では、どのようにしてメインストリーム市場の顧客にアプローチし、キャズムを乗り越えたら良いのでしょうか?これには2つの方法があり、

  • アーリーアダプターに口コミを広めてもらうこと

  • アーリーマジョリティ向けのマーケティング施策を実施すること

です。

キャズムを乗り越える一つ目の方法である「アーリーアダプターに口コミを広めてもらうこと」は、すでに顧客となっているアーリーアダプターの特性を活かした施策です。アーリーアダプターは、「新しく気に入った製品を見つけると周りに薦めてくれる」という特性を持っています。このアーリーアダプターの特性を活かした施策でよく見かけるものが、「友人紹介キャンペーン」です。サービスやプロダクトを気に入ってくれた既存ユーザーに対して、友人を紹介すると、紹介者と被紹介者に何かしらの特典を与えるという「紹介のきっかけ」を与えるのです。この施策の成功例として、Dropboxは「新しいユーザーを紹介したユーザーと、紹介されたユーザー両者に無料でストレージ容量をプレゼントする」という施策によって、新規登録者数が60%以上伸びたと明かしています。

キャズムを乗り越えるもう一つの方法が、「アーリーマジョリティ向けのマーケティング施策を実施すること」です。こちらの方法は、「実績と安心感を重視する」というアーリーマジョリティの特性に訴えるための施策です。この段階で、PMF(プロダクトマーケットフィット)が十分に検証できているのであれば、テレビCMなどの広告を使って一般認知度を高めることで、メインストリーム市場の顧客に対して「実績のあるサービスである」という印象を与えることができます。テレビCMによって認知度を上げる戦略で成功した例としては、フリマアプリのメルカリが有名です。

まとめ

今回は、新規事業において重要な顧客セグメントとなるアーリーアダプターについて、その特徴やサービスの普及においてアーリーアダプターが果たす重要な役割について解説しました。新しいプロダクトやサービスを普及させるためには、イノベーター理論における5つのグループを理解し、事業が今置かれている状況を把握することが重要です。また、キャズムの存在にも注意し、自社の置かれた状況に合わせて適切な戦略を立てることも求められます。

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