
私の働く会社DEPT®では、年間約10万円ほどの教育予算が各デザイナーに与えられます。私たちは、この予算を活用して、各自大学やオンラインコース、教材、サブスクリプションなどを自由に選んで購入しています。
https://www.deptagency.com/culture/
そんな中、私の同僚であるデザイナーのトバイアスは、持続可能なビジネス成長に関心を持ち、会社のESG(環境・社会・ガバナンス)への貢献を考えました。そして、彼はRMITのESGのコースを受講し、最近私たちデザイナーにESG戦略についてプレゼンをしてくれました。そのプレゼンには私たちの仕事が持つ重要な影響力や持続可能性を高めるための計画が含まれていました。
Nokoです。メルボルン在住のプロダクトデザイナーで、リモートで仕事をしています。 過去8年間は、ブランド戦略、エクスペリエンスデザイン、ビジュアルデザイン、モーションおよびイラ スト、アクセシビリティデザインなどのデジタルデザインの様々な分野で仕事をしてきました。現在は、Two Bulls/DEPTでシニアプロダクトデザイナーとして、様々な国際的なデザインプロジェクトに取り組んでいます。
ESGとは?環境・社会・ガバナンス
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取った言葉で、企業の長期的な成長に欠かせない要素とされています。
トバイアスのプレゼンテーションの内容に触れた後、私たちは一緒にESGイニシアチブの可能性について熱心に話し合いました。私も彼の考えにはとても感銘を受けました。トバイアスの素晴らしいアイデアは、私たちの会社の環境への取り組みについても深い洞察を与えてくれたのです。そして私たちは未来のために具体的な行動を起こすことの重要性を強く感じました。
Tobias Heeringa(https://tobiasheeringa.com/) メルボルンを拠点とするプロダクトデザイナー / コミュニケーションデザイナー / ジュニアプロダクトデザイナー
トバイアスのプレゼンを聞いてから私はESGに興味を持ち、詳しく調べてみました。その結果、サステナブルなファッションブランドやオーガニックな食品を提供する企業だけでなく、世界中の多くのデザイン会社がESGのビジョンに共感し、B-Corpなどの認証を受けていることを知りました。これは、デザイン業界全体が持続可能性の重要性を認識しているからだと思われます。
将来に向けて、これらの取り組みはますます重要になると考えられています。なぜなら、私たちが健康で幸せに暮らすためには、環境を保護し、社会的な問題を解決し、企業が適切に経営されることが必要だからです。
企業や組織がESGの原則に基づいた取り組みをするとき、デザイナーの役割はどのようなものになるのでしょうか?ESGを考慮したデザインとは一体何なのでしょうか?そんなことを疑問に思ったので、調べてみることにしました!
デザインとESGとのつながり
最近、私はエコな包装を提供しているオーストラリアの会社、noissueを利用する機会がありました。noissueはスモールビジネスや個人に向けて、カスタムデザインのテープ、包装紙、ステッカーなどの製品を提供しています。
数週間後、私はnoissueから商品と一緒にエコフレンドリーなパッケージが届いて、ほっこりとした気持ちになりました。パッケージが可愛らしく、おしゃれなこともありますが、エコなパッケージだと気づいたことで、環境にやさしい選択をできたと実感できたからです。環境に優しい取り組みをしている企業に対して私は信頼を寄せますし、そのブランドを応援したくなります。
https://noissue.com.au/
このようにデザインとESGは密接に関係していることがわかります。私たちデザイナーには重要な役割があります。私たちの役割は、デザインプロセスやサービスの設計においてESGを考慮することです。ESGに配慮したデザインは、企業の持続可能な製品やサービスに貢献し、また社会に良い影響を与えることができます。では、どのような形で企業やデザイナーがESGに取り組んでいるかどうかを知ることができるのでしょうか?
企業のESG取り組みを知るためのガイド
多くの企業はウェブサイトでESGに関する情報を提供しています。私たちはそれらの情報を見ることで、企業がどのようにESGに取り組んでいるかを知ることができます。
Apple
Appleのウェブサイトには、ESGセクションがありま す。このESGセクションでは、Appleがどのように環境への取り組みや労働者の権利と福利厚生、サプライチェーンの管理に関して取り組んでいるかが説明されています。これらの情報はAppleがESGに配慮していることを示しています。Webサイトで詳しく見ることができるので、興味がある場合はチェックしてみてください。
https://investor.apple.com/esg/default.aspx
Patagonia
持続可能なビジネスモデルに力を入れている企業として有名なPatagonia(パタゴニア)はウェブサイトで、環境への取り組み、製品の品質と耐久性、また公正な労働条件や人権の尊重など、社会に良い影響を与える取り組みを紹介しています。これらの取り組みは、Patagoniaが持続可能なビジネスに注力していることを示しています。
https://www.patagonia.com/our-footprint/
DEPT®
DEPT®は私の働く企業ですが、デジタルコンサルティングを専門としていて、デジタル製品を開発しています。会社のミッショ ンは、従業員やクライアントだけでなく、社会全体にポジティブな影響を与えることです。その一環として、私たちは、いくつかの持続可能なビジネスを応援する団体から認証を受けています。その認証や資格にはいろいろな種類がありますが、たとえば、B Corporation®(以下B-Corp)という認証は、企業が社会や環境に対して高い基準を守っていることを示しています。
https://www.DEPT®agency.com/insight/DEPT®-is-a-certified-b-corporation/
また個人のデザイナーでも、ポートフォリオサイトを通じて自分の理念やESGへの取り組みを表現することができます。例えば私の個人のウェブサイトでは、コンタクトへのCTAで、教育、環境保護、人権問題、そして二酸化炭素の排出削減に関心があることを伝え、その考え方に共感している方と一緒に働きたい旨を伝えています。
DEPT®がB-Corpを取得した理由
では、私たちの会社DEPT®がなぜB-Corp認定を取得することを決めたのか、簡単に紹介したいと思います。
最初は、チームの一員が提案から始まりました。 DEPT®では従業員に向けて定期的にアンケートを実施しています。1年に1回以上、時には半年に1回行われます。アンケートはPeakonというプラットフォーム使って行われ、このアンケートでは従業員たちの気持ちや満足度を知るために、いろいろな質問をまとめています。例えば、従業員が自分の意見を仕事場で言いやすいと感じているか、自分の仕事がチームの目標に役立っていると思っているか、そして成長する機会があると思っているかなどがわかるようになっています。このアンケートを通じて、DEPT®は従業員たちの気持ちを理解し、良い職場環境を作るための改善策を考えることができるようになっています。
私たちは当初から、ソーシャルグッドな企業を目指していました。私たちは単に利益追求だけでなく、社会や環境へのポジティブな影響をもたらすことを重視したいと思っていました。そしてB-Corpの認証は、 この目標を実現するための一つの手段として魅力的でした。
B-Corp(Benefit Corporationの略)とは?
B-Corpとは、企業の社会的・環境的な目標を追求することを約束する企業認証です。B-Corpは、アメリカの非営利組織「B Lab」によって作られました。この認証は、利益追求だけでなく社会や環境への積極的な影響を追求する企業を指します。B-Corpの認証を受けるには、企業の経営や運営が持続可能性、社会的影響、透明性などの基準に基づいていることを証明する必要があります。
https://www.bcorporation.net/en-us/
B-Corpの認証を受けることによって、私たちはソーシャルグッドな企業であることを証明できます。これが私たちのビジネスの透明性と責任を高め、信頼性を向上させる助けとなると考えました。
さらに、B-Corp認証の企業にとっての大きなメリットとして、認証を受けると競争力が高まるということもあります。自分たちのビジネスがどれくらい社会にいい影響を与えているかが数値化されるので、環境や社会のことを考える消費者や投資家は、B-Corp認証を受けた企業を選びます。
https://www.bcorporation.net/en-us/find-a-b-corp/company/dept-digital-agency-holding-b-v/
2006年には、国連のトップが「責任ある投資の原則」責任投資原則(PRI: Principles for Responsible Investment)という考え方を提案しました。この原則は、企業や投資家に対して、分析や評価を行う上で長期的な視点を持ち、ESGを考慮した投資行動をとることを求めるものでした。
さらに、認証を受けるとB-Corpネットワークに参加できるので、同じ価値観を持つ企業とのつながりや共同の目標に向けた取り組みが可能になると期待しました。B-Corpネットワークでは、ベスト プラクティスや知識を共有し合います。お互いに協力し、学び合うことでより良いビジネスの実践を追求することができるのです。現に私たちもB-Corpを取得している企業との仕事が増えつつあります。このように、さまざまな視点から見て、私たちはより持続可能な未来を築くために、B-Corpの価値を高く評価しました。
B-Corpを取得へのプロセス
https://bthechgjapan.net/b-impact-assessment-bia/
しかしB-Corpの取得は容易ではありませんでした。B-Corpは、企業が行っているすべての活動を調べ、「持続可能性」「エネルギー消費」「ダイバーシティ」「労働条件」などのさまざまなカテゴリで評価します。これには、組織全体から大量の情報をまとめる必要があり、変更や改善点を明確にする必要がありました。
厳格な審査や透明性の要求に応えるために、私たちは多くの時間と労力を費やしました。2020年のパンデミック期間中に、40人以上のチームが1年以上かけて取得に取り組みました。私たちのB-Corpチームは、DEPT® Impact戦略となるものを作り上げ、認証プロセスを完了させるために力を合わせました。
しかし、この過程を通じて、私たちはビジネスをソーシャルグッドに向けるためのアイデアを生み出し、社会に貢献するための目標を設定することができました。
B-Corp認証に対する個人的な思い
私は我が社がB-Corp認証をとったことを誇りに思っています。
ソーシャルグッドを目指している企業で働くということは、同じ価値観を持つ組織、また人々と一緒に働けるということを幸せに感じますし、仕事の意義や誇りを感じることができています。これは離職率を低めるのにも役立っていると思います。
DEPT®は急速に成長しており、現在4,000人以上の社員がいます。DEPT®の従業員は以前よりも幸福度が高まっています。2021年に比べて、従業員の幸福度は10点満点のスケールで0.1ポイント上昇し、8.4から8.5になりました。
DEPT®では、働くことが楽しく充実したキャリアを築くためには、いくつかの要素が重要だと考えています。それは、おもしろくてやりがいのある仕事ができること、成長できる機会があること、そして仕事以外のニーズをサポートしてくれる環境が整っていることです。
DEPT®における実際のESGへの取り組み事例
https://www.deptagency.com/wp-content/uploads/2023/04/DEPT%C2%AE-Impact-Report-2022.pdf (DEPT2022年インパクトレポート)
私たちがB-Corp認証を受けたからと言って、それで終わりではありません。 実は、私たちはB-Corp認証を受けるために必要な最低スコアよりも10%ほど高いスコアを取得しました。そのスコアにはとても誇りに思っていますが、まだ改善できる点もたくさんあると思っています。私たちはB-Corp組織と一緒に協力し、ビジネスを使って良い変化を起こす方法を探求し続けます。それは私たちの責任だと信じています。
私たちの企業は、デジタルテクノロジーを使って、現代のさまざまな問題を解決できると信じています。例えば気候の変化や人々の差の解消など、私たちが大事に思っている問題に対して、デジタルテクノロジーが重要な役割を果たすと考えています。
https://www.deptagency.com/wp-content/uploads/2023/04/DEPT%C2%AE-Impact-Report-2022.pdf (DEPT2022年インパクトレポート)
気候保護
私たちは気候変動に対して真剣に取り組んでいます。「ネットゼロ」「責任ある消費」「気候教育」という3つの重要な取り組みを通じて、私たちの地球を守り、持続可能な未来を築いていきたいと思っています。
現在、私たちの目標は、二酸化炭素の排出量をゼロにすることです。
2021年、私たちの炭素フットプリント(CO2の排出量)は、前年の5,500 t/CO2から少し増えて10,500 t/CO2になりました。ただし、パンデミックのためにオフィスや通勤に関する影響があったため、2020年の数字は特別な例でした。2023年の終わりまでには、マイナスの二酸化炭素排出を目指しています。現在も積極的に二酸化炭素を減らす努力をしています。
しかし、すべてをゼロにするのは難しいので、他で環境に良いことをしてバランスを取っています。具体的な例をあげると、私たちのパートナーであるTerra Neutra(ビジネスと消費者が自身の二酸化炭素排出量を管理できるようにする組織)を通じて、ケニアのHifadhi Livelihoods Cookstovesプロジェクトに投資しています。そのプロジェクトでは、特別なコンロを使って燃料を効率的に使い、二酸化炭素の排出を減らしています。私たちの投資によって、ケニアの自然と環境を守りながら、私たちの排出量のバランスをとっているのです。
またDEPT®は、Terra Neutraと提携し、eコマースの二酸化炭素プラスのアプリ「ClearSky」を開発しました。これはShopifyストアで使用されることを想定しており、購入した商品の二酸化炭素排出量をオフセットする方法を提供します。
私にとってこのような動きは非常に興味深く、私たちの会社がより持続可能な方向に進んでいることを示しています。ESGのビジョンを共有する会社同士が協力し、持続可能なビジネスモデルを探求することは、社会を変える手助けになり、環境への負担を軽くするのにとても大事だと思いました。
インパクトプロジェクト
DEPT®では、他の良い企業がさらに良いことをする手助けをすることも心がけて います。私たちの仕事は、ブランドが先を行くためのテクノロジーやマーケティングを開拓するものです。しかし、特に私たちは、目的を持った企業がより持続可能で公正で包括的な世界を実現するための使命を果たすために、私たちの開拓的な仕事が役立っていることを確認したいのです。
また私たちは、プロジェクト内で改善できる点や取り組みについて透明性を持ちつつ、インパクトプロジェクトの強化をしていきたいと思っています。クライアントに対して持続可能性を促進し、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関連する課題に影響を与える持続可能な製品を開発することを意味します。
実際、2020年に私たちが行ったプロジェクトの中で、ほぼ9%の収益が特にインパクトプロジェクトから得られました。これには、持続可能なファッションブランドであるhessnaturとの仕事、アイルランドの保健省(HSE)のCOVID-19トラッカーアプリ、慈善的なバーチャルイベント、アフリカの農家と寄付者をつなぐデジタルマーケットプレイス、および先ほどご紹介したTerra NeutraのClearSkyアプリなどが含まれます。
https://www.hessnatur.com/
2021年あたりで、私たちの収益の8.6%が目的志向の仕事から得られました。2023年には、社会的または環境的なポジティブな影響を持つプロジェクトが、私たちの総収益の15%以上を占める予定です。個人的に最近関わった仕事の例からみても、私たちがインパクトプロジェクトの強化を目指していることがわかります。
- インパクトプロジェクトとは?
- 「インパクトプロジェクト」という用語は、具体的な定義や標準的な意味を持ちません。しかし、一般的には、持続可能なイノベーションの開発を目指す取り組みのことです。これらのプロジェクトは、グローバルなニーズと抱負を市場で販売可能な解決策として具体化することを目指しています。その目標は、ドーナツ経済学に基づくビジネスモデルを構築し、持続可能な開発を従来の社会・環境・ガバナンスの側面(ESG)を超えて拡大する方法を示すことです。このプロジェクトでは、SDGs(持続可能な開発目標)を参考にしながら行動しています。
Beyond Blue: アプリデザイン
https://apps.apple.com/au/app/beyondnow-suicide-safety-plan/id1059270058
Beyond Blue(ビヨンド・ブルー)は、オーストラリアの精神保健組織です。この組織は、オーストラリアで心の健康に関する問題がより理解され、サポートが提供され、治療が進むようになることを目指しています。Beyond Blueは、うつ病や不安症、自殺といった心の健康の問題に取り組んでいます。彼らは、心の健康の問題に直面している人々やその家族、友人のサポートのために、さまざまなサービスやプログラムを提供しています。
My CP Guide: Webサイトデザイン
このWebサイトには、コ・デザインを通じて脳性まひの人たちや関係者が主に開発に関わっています。オーストラリア政府の「情報連携と能力向上プログラム(ILC)」のおかげで、このウェブサイトを制作することが出来ました。ILCは、障害を持つ人やその家族、介護者のために、地域で役立つプロジェクトを支援しています。
https://www.mycpguide.org.au/
Justice Connect: コンテンツデザイン
Justice Connectは、法律のを専門とする人々が集まって作った団体です。彼らはオーストラリアで、誰もが法律の援助を受けられるようにするために活動しています。Justice Connectでは、弁護士や法律の専門家たちがボランティアとして参加し、法律の相談や助言を無料で提供しています。例えば、ホームレスの方々への法的な支援、家族の問題や労働のトラブル、商品のトラブル、住まいの問題など、様々な法律の問題に対応しています。
https://justiceconnect.org.au/
これらのプロジェクトは、企業や団体が持続可能な社会づくりや社会的責任に貢献するために取り組む重要な取り組みとなっています。インパクトプロジェクトは、社会的な価値や持続可能性に焦点を当て、短期的な利益だけでなく、長期的な社会的な利益を追求することを目指します。具体的な取り組みは、教育、環境、貧困削減、医療、技術革新など、さまざまな分野にわたることがあります。このように、私たちは環境、社会、経済などの特定の課題に対してポジティブな変化をもたらすことを目的として仕事しています。
多様で平等かつ包括的な組織へ
https://www.DEPT®agency.com/culture/
私たちは多様性のある、平等で包括的な組織となるように心がけています。2020年には、DE&I(多様性、平等、包括性)の取り組 みの一環として、2つの新しいイニシアチブを試験的に導入しました。
経営層におけるダイバーシティとインクルージョン
https://www.deptagency.com/the-good-company/
私たちは、取締役会や経営ポジションにおいて、さまざまな背景や特徴を持つ人々が参加できるようにすることを心がけています。女性のリーダーシップポジションを増やし、より多様な労働力を確保し、POC(有色人種)の従業員をサポートする取り組みを強化しています。女性たちは、特定の業界で変革を形作り、デジタルの未来において重要な存在だと信じています。
また、DEPT®では最新の技術を使って、オンラインでのいじめをなくすための機械学習や、STEM分野の教育を女性にも包括的に提供するための革新的なつながり方、そして医療の中でのジェンダーによる差別をなくすためのAIなどを開発しています。
2020年から、2023年までに、私たちの労働力は社会全体をしっかりと反映し、管理職の40%以上が女性または非バイナリーの人々となることを心がけていました。2021年に、それを達成し、DEPT®の女性の割合は46%に増加しました、さらに、DEPT®のマネージャーのうち42%が女性または非バイナリーを自認しており、設定した40%の目標を達成しました。
私たちは、2023年末までにマネージャーの50%が女性またはノンバイナリーであることを心がけています。今後も、男女平等の性別表現を維持したいと考えています。現在、私たちオセアニアのデザインチームも5人のマネージャーのうち3人が女性、また非バイナリーで構成されています。
https://www.deptagency.com/wp-content/uploads/2023/04/DEPT%C2%AE-Impact-Report-2022.pdf
国連の報告書によると、過去10年間に、デジタルや技術の世界で女性が排除されたことで、低所得や中所得国の国のお金(GDP)が1兆ドルも失われました。これからも変わらない状況だと、2025年までには1.5兆ドルが失われることが予想されています。
この問題を解決するためには、女性のエンジニアやソフトウェア開発者、デザイナーを増やすだけではなく、技術やデジタル全体が女性に対しても配慮されるようになることが必要だと思っています。
DE&Iに関する取り組み
https://www.DEPT®agency.com/insight/unlocking-growth-embracing-the-human-touch/
人種や民族、性的指向など、多様性と包括性(DE&I)に関する取り組みも進んでいます。2020年には、以前の人事データシステムの問題で、これらのアイデンティティの情報を集めることができませんでしたが、私たちは新しいシステムに切り替えました。これによって従業員の満足度モニタリングに人口統計情報を追加でき、DE&Iの目標達成の進捗を測定するのに役立てています。その結果、DE&Iは私たちが活動している国や地域によっても異なることに気づきました。
また私たちは、「フェイスレス」採用などの取り組みを支援して、地域ごとに適した多様性・包括性・公正の戦略を計画しています。我が社では「フェイスレス」採用は、2021年に始まりました。これは、人々が顔や外見に基づく差別を受けずに、採用プロセスに参加できる方法です。
「フェイスレス」採用とは?
採用過程で候補者の人種、性別、外見などの情報を排除し、主に能力や経験、適性に基づいて採用の判断を行う方法です。
他にも、給与格差を縮小するために給与ポリシーを見直したり、多様性を尊重するためにいくつかの重要な取り組みを行っています。例えば、多様性を反映したカレンダーの導入です。このカレンダーでは、異なる文化や宗教の祝日や重要な日が示されており、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が自分自身や他の人々の文化について学び、尊重する機会を提供しています。これにより、私たちはより包括的な環境を促進し、全ての人々が自分自身を表現し、尊重される場を提供することを目指しています。
まとめ
私たちの会社では、持続可能性の観点からビジネスを見直すことが大切だと感じ、私たちはB-Corp認証を取得しました。これは、私たちのビジネスが社会や環境に与える影響を評価し、持続可能な価値を創造する企業として認められることを意味します。現在も他のデザイン会社が成功している例を学びながら、ESGの原則に基づいた取り組みを進めています。
この変化は、私たちデザイナーの仕事にとってとても大切な意味を持っています。なぜなら、会社や組織がESGに基づいた取り組みをするとき、デザインがとても重要な役割を果たすからです。デザイナーとして、人々の権利や安全性を考えたり、アクセシビリティやインクルージョン(包括性)に注目したりすることに繋がるのだと思いました。
Nokoです。メルボルン在住のプロダクトデザイナーで、リモートで仕事をしています。 過去8年間は、ブランド戦略、エクスペリエンスデザイン、ビジュアルデザイン、モーションおよびイラスト、アクセシビリティデザインなどのデジタルデザインの様々な分野で仕事をしてきました。現在は、Two Bulls/DEPTでシニアプロダクトデザイナーとして、様々な国際的なデザインプロジェクトに取り組んでいます。
https://nokowashiyama.com/