
2024年6月26、27日にサンフランシスコのMoscone Centerで開催されたFigma主催のデザインカンファレンスConfig 2024に参加し、Config 2024現地レポート速報編では現地の様子を主に紹介しました。
Configのメインコンテンツは様々なトピックについてのトークですが、これらは後からオンラインでも視聴可能なので、今回のConfigは世界中から集まるデザイナーと交流することを目的として参加しました。他にも多くの人が同じ目的で参加していたように思えます。
本編では、様々なデザイナーと交流して感じたこと、アメリカで活躍するデザイナーへのインタビュー内容、色々な人と会うための下準備やネットワーキングのコツを紹介します。
カナダ・バンクーバー在住のプロダクトデザイナー。現在はカナダ現地のデザインエージェンシーで働いています。
ネットワーキングとは?新たなビジネス上の出会いの場
ネットワーキングというと怪しげなイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれませんが、北米では、カンファレンスに限らず様々なシーンでネットワーキングが行われています。
ネットワーキングとネットで調べると「異業種交流会」と出てくることもありますが、異業種に限らずビジネス上の目的で新しい人と出会うことだと思ってもらえたらと思います。
Configは世界中からデザイナーが集まっていて、絶好のチャンスでした。私自身も、日本から来たデザイナーの方や、以前からオンライン上では面識があったものの直接は会ったことがなかった方、初対面の方など本当にたくさんの人と出会うことができました。
様々なデザイナーと交流して感じたこと
Configではたくさんの新しい繋がりを作ることができました。一方でConfigの2日間はトークもあり、その他アクティビティもあり、かなりバタバタしていたので、新しく出会った人と話す時間としては長くても5~10分くらいだったように思います。なので、新しいつながりを作るという意味では有効でしたが、深くつながるのは難しかったです。また新しくつながる方も、同じ領域のプロダクトや出身地(日本出身、カナダ出身)など何かしら共通の話題がある方が話しやすかったように思います。今回のConfigで特に印象的だったのは、同じ日本人という繋がりで、日本から来ていたシニアやCDOレベルのかなり経験豊富な方々と出会えたことです。
日本人デザイナーのみなさんと
逆に以前からオンライン上等で面識があったデザイナーとは、Configに限らずサンフランシスコ滞在中に実際に会うことで関係が深まりました。Config中はみんなバタバタしているので、Config前後にカフェ等で会って話すのも良かったです。
トークの間の休憩時間の様子。たくさんの人で溢れかえっているので落ち合うのが大変な時もありました
アメリカで活躍するデザイナーへのインタビュー
今回のConfigでは私の憧れのデザイナーである、Justin Edmundさんと灰色ハイジさんに会うことができました。
Justin Edmundさん - Principal Product Designer @ Slack
Justinは以前知人に紹介してもらいオンラインでメンタリングを受けたことがあり、それ以来ずっと直接会ってみたいと思っていました。
Justinとパシャリ
サンフランシスコ在住のプロダクトデザイナー兼ソフトウェアエンジニア。現在はSlackに所属。人々がクリエイティビティを発揮し、パッションを追求できるようなツールやコミュニティ作りを得意としている。
―― 今回のConfigはいかがでしたか?
Configは、出会いの場として非常に良い機会だと思います。自分と同じくらいのレベルのデザイナーやキャリアを始めたばかりの人、さらにはシニアレベルの経験豊富なデザイナーなど、多くの知識を持つ人々が集まっています。普段なかなか会うことのできない人々に直接会えるこの機会を大切にしていて、今回のConfigでは、InstagramやFacebookの初期デザイナーに会ったり、Spotifyの初代デザイナーのトークを聞くことができました。
―― 特に印象に残ったトークなどはありますか?
トークもどれも素晴らしいものでした。2日目のFigmaのデザインディレクターのMarcin WicharyのPixel-perfect stories「In defense of an old pixel」も素晴らしかったですし、1日目のクロージングキーノートも非常に印象的でした。しかし、トークはすべてオンラインで視聴可能なので、実際に会話を交わし、人々と直接会うことができるのがConfigに参加する価値だと思います。世界中のどこにもこれほど多くのプロダクトデザイナー、グラフィックデザイナー、ライター、コンテンツの専門家が一堂に会する場所はありません。だからこそ、Configは本当に特別な場所だと言えると思います。
灰色ハイジさん - Visual / Product Designer @ mmhmm & All Turtles
灰色ハイジさんは、海外でデザイナーとして働きたいと思った時からブログやポッドキャスト「exportfm」、出版されている本「デザイナーの英語帳 」など発信されている内容を追って何度も読み返していて、憧れの存在でした。
ハイジさんと。ハイジさんが事前にSNSで今日のConfitsを紹介してくれていたので、たくさん人がいる中でも見つけやすかったです
サンフランシスコ在住のデザイナー。ビジュアルデザインとインタラクションデザインを通じて、ブランドやプロダクトを構築。現在はAll Turtlesで、0→1のプロダクト構築と、既存のプロダクトの改善、そして mmhmm のマーケティングウェブサイトのデザインを担当。
―― Configでのネットワーキングで工夫したことはありますか?
今年でいうとConfig参加者用のSlackチャンネルがあって、それがすごく役立ちました。いきなり他人と英語で喋るのはすごく勇気がいると思いますが、Slackだとまずテキストで会話できるから敷居が低くて良いですよね。
ConfigのSlackは今回地域ごとにチャンネルが別れていて、私が住んでいるSFベイエリアのチャンネルもありました。近くのギャラリーで働いている人と繋がれたり、好きな本の著者が近くに住んでいるのが判明してお茶をしようという話になったりしたので、Configに行く前から事前にコミュニティを活用して繋がりを作っておくのはおすすめです。
Config 24 公式Slack
―― 他にネットワーキングについてのアドバイスはありますか?
私は知らない人に自分から声をかけられるタイプではないので、現地では事前にネットで知ってる人と会うことが多かったです。
なのでアドバイスとしては、事前にテキストベー スでやりとりをして、顔と名前を覚えておいて、現地で話すのが一番。また、#Confits という、Config に参加するときの服のコーディネートを投稿するハッシュタグもありました。事前にSNSでつながった上で、当日着ている服と共に自分の写真を上げておくことで、相手から声をかけてもらいやすくなるのでおすすめです。
色々な人に会うための工夫。Configのためにサンフランシスコに集まったデザイナーのためのミートアップも開催
色々な人に会うための下準備としていくつか事前に行ったことを共有します。
以前からの知り合いでConfig当日に会いたい人リストを作成し個別に連絡
ソーシャルメディアでConfigに参加することを発信
自分でミートアップ(交流会)を開催
Config参加者のSlackチャンネルに参加
アフターパーティーに参加
この中でも自分でミートアップを主催することと、アフターパーティーへの参加が落ち着いて話すという意味では一番良かったです。アフターパーティーについては速報でも触れたので、今回は私が主催したミートアップについて話そうと思います。
今回初めてのサンフランシスコでしたが、とりあえずお店さえ見つけて数人集まれば大丈夫!と思い「Pre-Config San Francisco Meetup - For Japan Lovers🇯🇵」というミートアップイベントを主催しました。個別で連絡して会いたいと伝えるほどの仲ではないですが、SNSでフォローしている人に来てもらえたらいいなという思いが最初のきっかけだったのですが、15人以上の人に集まってもらうことができました。またミートアップで出会えたことがきっかけで、Configの会場でも話すことができたので、とても良い場になりました。
Pre-Config San Francisco Meetup - For Japan Lovers🇯🇵に来てくださったみなさんと。日本人だけではなく、日本に興味のある方も来てくれました
また、会うための準備だけではなく、会ってからもオンラインで繋がっておけるように工夫しました。私は、LinkedInやポートフォリオをすぐに共有できるようにスマホのロック画面にQRコードを設定しました。他の参加者の中には、NFCタグをスマホの後ろに貼り付けていたり、デジタル名刺のプレーリーカードを用意している方もいて、非常に便利だと感じました。
Config中のスマホのロック画面
さらに、話す内容も事前に考えておきました。例えば、「どこから来たの?」というベーシックな質問から、「普段どんな仕事をしているか」、「仕事のどんなことが好きか?」、「参加した中でおすすめのトークはある?」といった具体的な話題まで準備しました。中には、プレーリーカードの表示画面に話したいトピックを書いてある方もいて、次回Configに参加する際には私も準備しようと思いました。
また、Configではみんなが色々な人と出会うので、会った後にはアフターフォローで話した内容を含んだメッセージを送るのもおすすめです。
おわりに
この記事では、様々なデザイナーと交流して感じたこと、アメリカで活躍するデザイナーへのインタビュー内容、色々な人と会うための工夫やネットワーキングのコツを紹介しました。
いきなり英語で会話をするのは難しいと思う方も多いと思いますが、Config以外にも世界中でデザインのイベントは開催されているので、ぜひ世界中のデザイナー と交流する時のヒントになれば幸いです。また、Justinの言葉を借りて、Configは世界中のデザイナーが集まっている本当に特別な場所でした。ぜひ来年の参加を検討してみてはいかがでしょうか?