心理学

イケア効果とは?自分で作ることで生まれるモノへの特別な愛着

最終更新日:2024.02.16編集部
イケア効果とは?自分で作ることで生まれるモノへの特別な愛着

イケア効果とは?

イケア効果とは、自分で作って完成させたものには特別な愛着が生まれ、より価値が高く感じられるという認知バイアスのことです。

イケア効果
自分で作って完成させたものには特別な愛着が生まれ、より価値が高く感じられるという認知バイアスのこと。

イケア効果は、自分で家具を組み立てて完成させる「IKEA」のビジネスモデルに由来しています。IKEAの家具を購入する際、ほとんどの商品が分解された状態で販売されています。分解されている家具を消費者自身が組み立てることで、完成した家具への愛着が増して特別な価値を感じるのがイケア効果です。

IKEA

IKEA

Inter IKEA Systems B.V.

イケア効果を検証した実験

イケア効果について、実際の研究より読み解いていきましょう。Michael I. Norton氏の研究では、被験者に以下の内容を体験してもらい、イケア効果が働くかどうかを実験しました。

  1. IKEAの家具の組み立て

  2. 折り紙

  3. レゴのセットの組み立て

実験の結果、被験者は自分たちが作ったものにプロが作ったものと同等の価値があると感じ、他の人にもその気持ちを共感してもらえることを期待しました。ただし、被験者が完成させられなかったり、分解しただけの場合には上記の様な感情は生まれなかったとのことです。この実験から、イケア効果は自分で作ったものを最後まで完成させることで初めて働く効果であるということがわかります。

作品そのものが大切なのではなく、その作品を作るプロセスを実際に体験し、完成させられたという達成感が愛着を生み、作品への評価に繋がるのです。

体験を購入する?注目の「コト消費」とは?

Lego Ideas

https://ideas.lego.com/

コト消費とは、「モノ」の購入を目的とするのではなく、「体験」の購入を目的とした消費形態です。イケア効果はコト消費と深い関係があります。実際に、イケア効果の神経基盤を初めて検証した中央大学の研究グループが発表している論文では、「コト消費」と「イケア効果」には深い関連性があることが結論付けられています。

イケア効果とコト消費の関連性をうまく活用したマーケティングは、さまざまな企業で活用されています。例えば、Lego社による「Lego Ideas」もその1つです。下記で「Lego Ideas」のイケア効果とコト消費の要素をそれぞれ解説します。

「Lego Ideas」におけるコト消費の要素

「Lego Ideas」は、Legoのファン達が自分たちのアイディアやデザインで作ったレゴの作品を実際のレゴやデザインソフトなどで作成して投稿し、他のファンと共有するプラットフォームです。

投稿した作品にサポーターが10,000人以上集まると、アイデアが製品化されることもあります。レゴのファン達にとっては夢が叶う可能性を持ったシステムで、「消費者が製品開発に参加できるという体験 = コト」を提供することでレゴコミュニティの充実化につながっています。

「Lego Ideas」におけるイケア効果の要素

「Lego Ideas」でのイケア効果の発生要素は、作品の提案時に実際にそのレゴセットを組み立てて完成させる機会があることです。

提案者は、自分の手でレゴの作品を組み立てることで、その作品に対する愛着を持ちます。さらに、自分で作成したセットが製品化される工程に関わり完成させることで、より作品の価値を高く感じるでしょう。以上のように、「Lego Ideas」は、イケア効果とコト消費が関連性をうまく作用した事例となっています。 

まとめ

近年のDIYブームなども、今回紹介した「イケア効果」の一つの事例ですね。顧客自身が製品の最終的な完成に関わることのできるようなサービスでは、イケア効果の特性をうまくサービス設計に活かすことができそうです。商品の完成体験ができるような機会を顧客に提供することで、イケア効果を活用してみてはいかがでしょうか。

参考文献

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