
インハウスデザイナーとは?
インハウスデザイナーとは、特定の企業や組織に所属し、社内のデザイン業務を担当するデザイナーのことです。広告代理店や制作会社に所属するデザイナーとは異なり、自社のプロダクトやサービスに特化したデザインを行います。
インハウスデザイナーの 仕事内容は多岐に渡りますが、主にWebサイトやアプリのUI/UXデザイン、ロゴやバナーなどのグラフィックデザイン、パッケージデザインなどを担当することが一般的です。自社のブランドイメージを統一し、ユーザー体験を向上させることがインハウスデザイナーの重要な役割です。
また、マーケティングや企画、エンジニアリングなどの他部署とのコミュニケーションを密に取りながらデザインの意図を正確に伝えることも求められます。自社のビジネスゴールを理解した上で、デザインの力で自社プロダクトやサービスの価値を最大化することがインハウスデザイナーのミッションといえるでしょう。
デザイナーとして仕事を探す際の大きな選択、インハウスデザイナーと制作会社のデザイナーの違いは?
デザイナーとして仕事を探す際、「インハウスデザイナー」と「制作会社のデザイナー」のどちらの道に進むかは大きな選択の1つです。両者の違いを理解することは、自分に合ったキャリアを築く上で重要でしょう。
インハウスデザイナーは、特定の企業や組織に所属し、自社のプロダクトやサービスに特化したデザインを行います。そのため、自社のビジネスゴールや課題を深く理解し、長期的な視点でプロダクトやサービスの成 長に貢献できます。
一方、制作会社のデザイナーは、複数のクライアントから依頼を受け、さまざまな業界やプロジェクトに携われるといったことが特徴です。そのため、多様なプロジェクトに関わることで幅広い経験とスキルを身につけられます。
どちらの道を選ぶかは、自分の興味関心や目指すキャリアによって異なります。自分に合ったデザイナーとしてのキャリアを考える上で、インハウスデザイナーと制作会社のデザイナーの特徴を理解しておくことが大切です。
インハウスデザイナーとして働くことで得られる経験
ここでは、インハウスデザイナーとして働くことで得られる経験として、いくつかの例を紹介します。
好きなサービス・プロダクト・業界に関われる
長期的なプロダクト・サービスの成長にコミットできる
同じ目標を持ったチームで働ける
広い領域や媒体でデザインに携われる
1. 好きなサービス・プロダクト・業界に関わることができる
インハウスデザイナーとして働く最大の魅力は、自分が興味を持つ特定の業界やプロダクト、サービスに深く携われるという点です。「この業界で働きたい」「このプロダクトのデザインに関わりたい」という明確な目的意識を持ってデザイナーになる人も多くいます。自分が情熱を注げる分野でデザインに取り組むことで、高いモチベーションを維持しながら仕事に臨めます。好きなことを仕事にできるというのは、インハウスデザイナーの大きな魅力の1つといえるでしょう。
2. 長期的なプロダクト・サービスの成長にコミットできる
インハウスデザイナーのミッションは、デザインを通して事業価値や社会的な価値を生み出すことです。企画から実装、効果検証まで、自分が手がけたデザインが長期的にプロダクトやサービスの成長にどのように貢献したかを実感できるのが大きな利点です。近年、デザイナーの転職では「デザインを通してどのように価値を生み出したかのプロセス」が重要視されています。インハウスデザイナーとして、プロダクトやサービスの成長に長期的にコミットすることは、自身のキャリアアップにもつながるでしょう。
3. 同じ目標を持ったチームで働くことができる
インハウスデザイナーは、エンジニアやマーケター、プロダクトマネージャーなど、さまざまな職種のメンバーと同じ目標に向かって働けます。サービスやプロダクトについて真剣に語り合い、アイデアを出し合える環境は、デザイナーにとって大きなやりがいになるでしょう。
一方で、特定のサービスやプロダクトに長く関わることは、常に考慮すべき重要なステークホルダーがいたり、そのサービス特有の制約のもとでデザインをするなどといった特殊な環境に身を置くことにも繋がります。そのため、ある意味デメリットになるかもしれない点として、社外の知見に触れる機会が少なくなることで、自身のスキルが社外で通用するのか不安になることもあるかもしれません。
4. 広い領域や媒体でデザインに携わることができる
インハウスデザイナーの業務範囲は、会社によって大きく異なります。UI/UXデザインからグラフィックデザイン、パッケージデザインまで、幅広い領域や媒体でデザインに携われる環境もあれば、特定の領域に特化したデザインチームもあります。自分がやりたいデザインの分野と、会社がデザイナーに求める役割が合っているかどうかは、入社前に確認しておくことが重要です。インハウスデザイナーとして広い領域でスキルを磨きたい人は、デザイナーの業務範囲が広い会社を選ぶのがオススメです。
制作会社やコンサルファームで働くことで得られる経験
インハウスデザイナーではなく、制作会社やコンサルファームのデザイナーとして働くことで得られる経験として、以下のような内容が挙げられます。
さまざまな企業で働くデザイナーやエンジニアと関われる
業界やプロダクトを横断してノウハウを集めやすい
フリーランスとして独立する場合のイメージが湧きやすい
1. 様々な企業で働くデザイナーやエンジニアと関われる
制作会社やコンサルファームで働くデザイナーは、多様なクライアントの業務に携わることで、さまざまな企業の内部を垣間見れます。プロジェクトを通じて、他社のデザイナーやエンジニアと協働する機会もあるかもしれません。異なる背景や専門性を持つ人々とのコラボレーションは、デザイナーとしての視野を広げ、新たな発想を生み出すきっかけになります。また、クライアントごとに異なる社風やカルチャーを体験することで、自分に合った働き方や環境を見つけるキッカケを得られることもあります。
2. 業界やプロダクトを横断してノウハウを集めやすい
制作会社やコンサルファームでは、特定の業界やプロダクトに限定されない、幅広い業務に携われます。デザイナーはさまざまなプロジェクトに関わる機会がありますが、異なる業界やプロダクトに携わる中で、デザインの普遍的な原則や、業界を超えて役立つノウハウを蓄積していけます。この経験は、将来的にデザイナーとし てのキャリアを広げる上で大きな財産になるでしょう。
3. フリーランスとして独立する場合のイメージが湧きやすい
フリーランスのデザイナーは、さまざまなクライアントからの依頼を受け、プロジェクトベースで仕事を進めていきます。この働き方は、制作会社やコンサルファームでの業務スタイルに似ています。社内の体制やリソースに頼ることなく、自分の力でプロジェクトを遂行していく経験は、フリーランスとして独立する際の心構えやスキルを養う上で大いに役立つでしょう。
インハウスデザイナーへの転職の際に考えたいポイント
インハウスデザイナーへの転職を考える際は、自分の興味関心や目指すキャリアに合った会社を選ぶことが重要です。とくに、自分が情熱を注げる業界やサービスであるかどうか、そして会社内でのデザイナーの役割や位置付けが自分の目指す方向性と合っているかを確認しておきましょう。以下に、転職の際に考えておきたいポイントについて説明します。
1. 好きな業界・サービスであるか?
インハウスデザイナーとして転職する際は、自分が興味を持てる業界やサービスを扱う企業を選ぶことが大切です。デザイナーとしてのスキルや経験を活かしつつ、情熱を持って取り組めるプロダクトやサービスに携われる環境は、仕事のモチベーションを高め、長期的なキャリア構築にも役立ちます。
転職先を探す際は、単にサービスの内容だけでなく、それが届ける社会的な価値や対象とする顧客層なども考慮してみましょう。たとえば、教育関連のサービスであれば、次世代の育成に貢献できる面白さがあるかもしれません。また、特定の業界や分野に特化したサービスであれば、その分野に詳しくなれる機会があるでしょう。自分の関心ごとや価値観に合ったサービスを見つけることで、デザイナーとしてのやりがいを感じられる環境を選べるようになります。
2. その会社の中でのデザイナーの役割・位置付けは自分の目指す方向性に合っているか?
インハウスデザイナーの役割や裁量は、企業によって大きく異なります。ある会社ではUI/UXデザインに特化し、プロダクトの設計から関われる一方、別の会社ではマーケティング施策のビジュアル制作が主な仕事になることもあります。デザイナーの意見が尊重され、裁量を持って仕事ができる環境もあれば、営業部門の意向が強く反映 され、特定の大口顧客の要求に振り回される状況もあるでしょう。
転職先を選ぶ際は、デザイナーの役割や位置付けが自分の目指す方向性と合っているかを確認することが重要です。面接やカジュアル面談の機会を活用し、デザイン組織の体制や社内でのデザインの位置付け、デザイナーの主な業務内容などを聞いてみましょう。自分がやりたいデザインの分野と、会社が求めるデザイナー像がマッチしているかを見極めることが、長期的に活躍できる環境を見つけるためのポイントになります。
まとめ
本記事では、インハウスデザイナーの特徴や働き方、制作会社のデザイナーとの違いについて解説しました。インハウスデザイナーは自社のプロダクトやサービスに特化し、長期的な視点で価値を提供する一方、制作会社のデザイナーは多様なプロジェクトを通じて幅広い経験が積めます。
デザイナーとしてのキャリアを考える上で、自分の興味関心や目指す方向性に合った環境を選ぶことが重要です。インハウスデザイナーを目指す場合は、自分が情熱を注げる業界やサービスを扱う企業を選び、デザイナーの役割や裁量が自分の目指す方向性と合っているかを確認しましょう。
この記事を通じて、デザイナーとしてのキャリアパスについて考えるきっかけになれば幸いです。