心理学

ジョハリの窓とは?4つの自己を分析するワークのやり方

最終更新日:2024.02.11編集部
ジョハリの窓とは?4つの自己を分析するワークのやり方

ジョハリの窓とは?

ジョハリの窓とは?

ジョハリの窓とは、1955年にアメリカ・サンフランシスコ州立大学の心理学者、ジョセフ・ルフトとハリー・インガムが発表した、対人関係における気づきのグラフモデルのことです。人は4つの自己をもっているとして、4象限で図式化しました。自分が思っている自分の性格と人からみたときの印象にズレがあることに気づくことができる手法です。のちに提案者ふたりの名前を組み合わせてジョハリの窓と呼ばれるようになりました。その定義は次のとおりです。

ジョハリの窓(Johari Window)
人には、公開されている自己(Open self)、隠されている自己(Hidden self)、自分は知らないけれど他人は知っている自己(Blind self)、誰にも知られていない自己(Unkown self) の4つがある

ジョハリの窓は、「自分が知っていることかどうか」をヨコ軸に、「他者が知っていることかどうか」をタテ軸にとって、4つの窓(領域)で表すことができます。

開放の窓(Open Window)

開放の窓
  • 他者に開放されている公的な私

  • 自分も他人も双方が知っていて、一致している部分(開放領域)

この領域が大きいほど、楽に生きていくことができる

盲点の窓(Blind Window)

盲点の窓
  • 自分は知らないけれど、他者は知っている私

  • 自分では気づかないうちに、他人から見られている部分(盲点領域)

他者からのフィードバックによって、縮小させることができる領域

秘密の窓(Hidden Window)

秘密の窓
  • 意図的に隠している、語られていない私

  • 自分は知っているけれど、他人には見せていない部分(秘密領域)

自己開示によって、縮小させることができる領域

未知の窓(Unknown Window)

未知の窓
  • まだ誰にも気づかれていない私

  • 自分も他人も気づいていない、未知の可能性を秘めた部分(未知領域)

この領域は発見することによってのみ知ることができ、自己発見、他者発見、自己と他者の同時発見の、3つのパターンが存在する

ジョハリの窓のワークで自分への理解を促進させる

このジョハリの窓は、ジョーゼフとハリーによる「人間関係や対人関係における自己成長のためのトレーニング」の過程で生まれてきたものとされており、次のように用いることができます。

4つの窓をヨコに2コマ、タテに2コマになるように配置して、それぞれの大きさは自由になるように設定します。それぞれの窓に該当するものを書き出して、4つの窓の大きさのバランスを観察してみるのです。たとえば開かれた窓が大きければ、他者に対して自己開示している量が大きいことを表します。盲点の窓の大きさが大きくなければ、ふだんから他者からのフィードバックをたくさん受けていることを示します。秘密の窓の面積を小さくするには、自ら自分の性格を積極的に開示していくことが必要になっていきます。

ジョハリカードを用いた実習「心の四つの窓」

このジョハリの窓を、研修などで実習として活用できる形に紹介している論文があります。ワークのステップを抜粋してみましょう。

ジョハリカードを用いた実習「心の四つの窓」(所要時間65分)

狙い:自分自身の人との関わり方を考えるきっかけを知る

  1. グループワークに必要な4枚のカードやふせん、ホワイトボードなどを用意する

  2. 仲間探しのワークをしながら、4人でひとつのグループをつくる

  3. 窓Aのカードに名前と自己紹介を書く

  4. グループワークを行う

  5. 窓Bのカードに、グループワーク中に自分自身について感じていたことを書く

  6. ほかのメンバーについて感じたことは、ひとり分づつふせんに書く

  7. メンバーからのふせんは窓Cに貼り、窓BとCをメンバーで共有する

  8. ジョハリの窓について10分間の講義を受ける

  9. 窓Dに、BとCを見比べたときに自分について思ったこと、今日のワークや講義を通じて感じたことなどについて書き出し、時間があれば共有する

(グラバア俊子・小山田奈央(2008)実習「心の四つの窓」南山大学人間関係研究センター紀要「人間関係研究」第7号より)

unprintedのxをフォローして、デザインの最新ニュースをリアルタイムでキャッチ!

まとめ

ジョハリの窓は、自分自身をみつめるための手法として有効です。カウンセリングの場では、相談者のことを知るときにも役立つ知見です。自分自身への気づきや理解は、良好な人間関係の発展にむすびつくというメカニズムがあるからです。

最初は、相手が他の人に向けて公開している「開放領域」でコミュニケーションを行います。お互いの関係性がうまく築けて信頼関係もつくれた場合に、相手から求められたときに「盲点の窓」にあたる、相手が知らない相手の印象を受け取りやすくフィードバックしていきます。最初は他の人には秘密にしていたことも言葉にして口から出すことで、自然と開放領域に導くことができます。しかしその際には無理のない「自己開示」が何より大切になってきます。

ちなみに自己開示とは、他者に対して相手の知らない自分をさらけだすことや、自分に関する相手が知らない新たな情報を自分から話すことなどをさしています。思いきって話してみることで気持ちが軽くなってすっきりしたり、考えや感情が整理されるというメリットがあります。自分のことを客観的に理解する助けになる効果もあります。しかしあまり親しくなっていないタイミングで開示をしすぎたり、開示する相手を間違えてしまうと、失敗に終わってしまいます。十分に注意しながら行うことが大切です。

参考文献

  • ジョハリの窓 『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』 (最終閲覧日2022年9月25日)

  • グラバア俊子・小山田奈央 (2008). 実習「心の四つの窓 : ジョハリの窓を活用する」 人間関係研究 (3), 161 - 174

  • 渋谷昌三(2021).『決定版 面白いほどよくわかる!心理学の本』 西東社

心理学

関連記事

Related Articles

最新の記事

Latest Articles

デジタルデザインの最新情報をお届け!

unprintedのメールマガジンにご登録いただくと、デジタルデザインの最新情報をメールで受け取ることができます。今までに配信したバックナンバーも公開中!

※登録ボタンを押すと利用規約に同意されたものとします。