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ユーザビリティテストとは?効果的なやり方や注意点を解説

最終更新日:2024.02.22編集部
ユーザビリティテストとは?効果的なやり方や注意点を解説

ユーザビリティテストとは?

ユーザビリティテストとは?

ユーザビリティテストとは、Webサイトやアプリの使い勝手を評価し、改善するための重要な手法です。このテストでは、実際のユーザーに製品を使ってもらい、その体験を通じてサイトやアプリの現状と課題点を明らかにします。

ユーザーの行動や反応を観察することで、ユーザーの心理やニーズを理解し、それにもとづいた改善策を導き出すことが可能です。例として、以下のような確認項目があります。

  • ページの読み込み速度

  • ナビゲーションの使いやすさ

  • コンテンツのわかりやすさ

ユーザーの直接的な体験から得られるデータは、サイトやアプリの使いやすさを向上させる貴重な情報源となります。このプロセスを通じて、製品開発やWebサイト制作の質の向上につながるのです。ユーザビリティテストは、ユーザー中心の設計思想を具現化するための鍵となる手法であり、自社プロダクトや自社Webサイト制作の成功に欠かせない要素と言えます。

また、ユーザビリティに関する基礎知識については以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。

「ユーザビリティテスト」と「ユーザーテスト」の違い

「ユーザビリティテスト」と「ユーザーテスト」の違い

「ユーザビリティテスト」と「ユーザーテスト」はしばしば混同されがちですが、焦点が異なるテストです。

ユーザビリティテストは、製品やサービスの使いやすさ、理解しやすさ、効率性を評価することに重点を置きます。ユーザーが直面する問題点や操作の難易度、ナビゲーションの直感性などが分析されます。

一方ユーザーテストは、製品やサービスがユーザーの要求や期待にどの程度応えているかを評価するためにおこなわれます。このテストでは、ユーザーの満足度や製品に対する感情的な反応、使用状況における製品の適合性などが重視されます。

二つのテストは、製品開発の異なる段階や目的に応じて適切に選択されるべきで、ユーザビリティや市場適合性、両面からの改善を目指します。

ユーザビリティテストの分析方法

ユーザビリティテストの成果を最大限に活かすためには、その分析方法が重要になります。分析方法には大きく分けて「定性的」と「定量的」、二つのアプローチがあります。ここでは、定性的ユーザビリティテストと定量的ユーザビリティテスト、それぞれの特性について解説します。

定性的ユーザビリティテスト

定性的ユーザビリティテストとは、ユーザーの体験や感想に焦点を当てた分析方法です。このアプローチでは、ユーザーが製品を使用する際の感情(好みや課題感など)にもとづく主観的な情報を収集します。より直感的な意見を収集するために、インタビューやアンケートなどを通じて、ユーザーの声を直接聞くことが重要です。

定性的ユーザビリティテストをおこなうことで、数値では捉えられないユーザーの深層心理や隠れたニーズが理解できます。たとえば、製品の特定の機能に対するユーザーの感想や、使用中に感じた不便さなど、具体的なフィードバックを得られます。これらの情報は、ユーザビリティを向上させるための貴重な手がかりとなり、よりユーザー中心の製品設計が実現します。

定量的ユーザビリティテスト

定量的ユーザビリティテストとは、具体的な数値やデータを用いて製品の使い勝手を分析する方法です。このアプローチでは、タスク完了時間やエラー発生率、クリック数などの客観的な指標を収集し、製品のユーザビリティを定量的に評価します。

たとえば、ユーザーが特定のタスクを完了するのに要する時間を計測することで、製品の効率性を評価できます。また、ユーザーがどの程度の頻度でエラーに遭遇するかを分析することで、製品の使いやすさの理解につながるのです。定量的ユーザビリティテストは、製品の問題点を明確にし、より使いやすく効率的な製品を設計するための重要な手段となります。

ユーザビリティテスト方法の種類

ユーザビリティテストを実施する方法は多岐にわたりますが、大きく分けて「対面方式」と「非対面方式」の二つがあります。二つの方法はそれぞれ異なる利点や制約を持つため、目的や条件に応じて適切な方法を選択することが重要です。

対面方式

対面方式のユーザビリティテストとは、テスターが直接ユーザーと対話しながらおこなう方法です。この方式では、インタビューや1対1のセッションを通じて、ユーザーの反応や行動を直接観察し、詳細なフィードバックが得られます。とくに、ユーザーの表情や身振りから得られる非言語的な情報は、対面方式ならではの貴重なデータです。また、テスターはリアルタイムで質問をおこない、ユーザーの深層心理や意見を掘り下げることが可能になります。

このアプローチは、製品の初期段階でのユーザビリティの問題点を発見するのに有効です。ただ、対面方式は時間や場所の制約があり、参加者の確保が難しい場合もあります。そのため、テストの計画と実施には十分な準備と調整が必要です。

非対面方式

非対面方式のユーザビリティテストとは、テスターとユーザーが直接対面せずにおこなわれる方法です。このアプローチでは、事前に用意したテストタスクをユーザーに実施してもらい、その結果をWeb上で提出してもらう形式が一般的です。この方式の大きな利点は、地理的な制約に囚われず、多くのユーザーが同時にテストをおこなえることです。また、時間的な柔軟性も高いことから、対面方式と比較するとより多くのユーザーからデータ収集ができます。

ただし非対面方式では、ユーザー行動や反応を直接観察することが難しく、非言語的なフィードバックを得ることはできないため、テストの項目には工夫が必要です。

非対面方式は、大規模なユーザビリティテストや、時間や場所の制約がある場合に適している方式です。そのため、広範囲のユーザーからの意見を効率的に収集し、製品のユーザビリティを向上させる必要がある場合に適しているテスト方式と言えます。

ユーザビリティテストのやり方

ユーザビリティテストを実施する際のステップには、以下の内容が含まれます。

  1. 課題の明確化と目標の設定

  2. 仮説の設定

  3. テストのタスク作成

  4. 具体的な質問内容や評価項目の作成

  5. 協力者の確保とテストの実施

  6. テスト結果の分析

これらのステップを実行することで、ユーザビリティテストを効果的に進行できるようになります。各ステップ毎に意識しておくべきポイントについて解説します。

1. 課題の明確化と目標の設定

ユーザビリティテストではじめにすべきことは、課題の明確化と目標の設定です。ここでは、テストの目的をはっきりさせ、どのような問題を解決しようとしているのかを特定します。目標を明確にすることで、テストの方向性が決まり、後のステップがスムーズに進行します。

2. 仮説の設定

課題と目標が明確になれば、次に仮説を設定します。この段階では、テストを通じて検証したい具体的な仮説を立てます。たとえば、特定の機能がユーザーにとって直感的に使いやすいか、あるいは特定のデザインがユーザーの理解を助けるかどうかなど、具体的な疑問を仮説として設定します。これらの仮説は、テストの結果を分析し、有効なフィードバックを得るための基本情報になります。

3. テストのタスク作成

テストを進める第三段階として、実行するテストのタスクを作成します。これらのタスクは、仮説の検証に直接関連し、ユーザーの行動や反応が観察できるものである必要があります。たとえば、特定の機能の使用方法を理解できるか、または特定の情報をどれだけ迅速に見つけられるかなど、実際の使用状況を想定したタスクが必要です。これにより、ユーザー体験の理解を深められるようになり、製品やサービスの改善点が明確になります。

4. 具体的な質問内容や評価項目を作成

ユーザビリティテストの第四段階では、具体的な質問内容や評価項目を作成します。このステップでは、テスト中にユーザーに尋ねる質問や、彼らの行動や反応を評価するための基準を定めます。質問はユーザーの体験や感想を深く掘り下げるものでなければならず、評価項目はテストの目的に沿った具体的な指標を含むべきです。これにより、収集されるデータの質が向上し、より有意義な洞察を得ることが可能になります。

5. 協力者の確保とテストの実施

具体的なテストが作成できれば、次に協力者の確保とテストの実施がおこなわれます。このフェーズでは、テストに参加するユーザーを選定し、テスターにタスクを実行してもらいます。協力者は、対象となる製品やサービスの実際のユーザー層を反映するべきです。適切な協力者を選ぶことで、実際の使用状況に近いフィードバックが得られます。

6. テスト結果の分析

ユーザビリティテストの最終段階は、テスト結果の分析です。このフェーズでは、収集したデータを詳細に検証し、ユーザーの行動パターンやテスト対象の問題点、改善の余地を明らかにします。分析は、テスト中のユーザーの反応やコメント、タスク遂行時間など多岐にわたるデータをもとにおこないます。この分析を通じて、製品やサービスのユーザビリティの強化点が明確になり、より使いやすく、効果的なデザインへの改善が可能になります。

ユーザビリティテスト実施時の注意点

ユーザビリティテストを実施する際、注意すべき点もあります。ユーザビリティテストの効果を最大限に引き出すため、意識しておきたい二つのポイントについて解説します。

ユーザーが「感じた」ことを引き出す

ユーザビリティテストにおいて、ユーザーが「感じた」ことを引き出すことは、製品やサービスの改善に不可欠です。客観的な事実だけでなく、ユーザーの感情や感覚にも耳を傾ける必要があります。

たとえば、使用中のストレスや不便さ、直感的に感じる使いやすさなど、ユーザーの主観的な体験を深く理解することが重要です。インタビューやアンケートでは、単に操作の難易度や機能の有用性だけでなく、ユーザーの感情的な反応や直感的な印象を探る質問を含めることが効果的です。

これにより、製品やサービスのユーザビリティを本質的に向上させるための貴重な洞察を得られるようになります。

テスト実施者の主観を伝えない

ユーザビリティテストを実施する際、テスト実施者の主観を伝えないことも重要です。テストの結果は、提供される情報や実施者の態度によって大きく変わる可能性があります。実施者が自身の意見や感想を述べることで、ユーザーの反応に影響を与え、本来の目的である客観的なフィードバック収集の妨げになる可能性があります。

そのため、テスト中は中立的な立場を保ち、誘導的な質問やコメントを避けるようにしましょう。また、ユーザーに対して評価や判断を求める際には、自由な意見を尊重し、無意識のうちに自分の見解を押し付けないよう注意する必要があります。

テスト実施者の主観を排除することで、より正確で信頼性の高いユーザビリティテストの結果が得られます。

まとめ

本記事では、ユーザビリティテストの基本的な概念や分析方法、具体的な実施手順から実施時の注意点について解説しました。

正しい手順でユーザビリティテストを実施すれば、製品やサービスの改善に役立てられます。この記事の内容を参考に、ユーザビリティテストにチャレンジしてみていただけると幸いです。

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