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ロゴのデザインに最適な定番13フォントを事例とともに紹介!

最終更新日:2024.07.03編集部
ロゴのデザインに最適な定番13フォントを事例とともに紹介!

ロゴには大きく3種類ある:ロゴタイプ・シンボルマーク・ロゴマーク

ロゴの種類

ロゴとは、「言葉」という意味を持つギリシア語に由来し、ブランディングの世界では企業やその商品の名前を、競合との視覚的な差別化を行なった上で消費者に印象付ける手法として取り入れられています。ロゴにはさまざまな形態のものがありますが、大きく以下の3種類に分けることができます。

  • ブランド名を表現した「ロゴタイプ」

  • オリジナルのマークをデザインした「シンボルマーク」

  • シンボルマークとロゴタイプを組み合わせた「ロゴマーク」

ロゴタイプは、ブランドの名前をそのまま読みやすい形で表現したものです。今回の記事で紹介するように、既存のフォントをもとに作成されることが多いです。PanasonicやSonyのロゴをイメージするとわかりやすいと思います。シンボルマークは、特定のデザインをそのブランドに紐づくものとして使用するものです。これには、Appleのリンゴやスターバックスの人魚を思い浮かべるとわかりやすいと思います。

そして、3つ目のシンボルマークは、シンボルマークとロゴタイプを分解可能な形で組み合わせたものとなります。このほかにも、シンボルマークの中にブランド名が含まれているエンブレムなど、ロゴタイプとシンボルマークの中間のようなロゴも存在します。

迷ったらシンボルマークとロゴタイプを両方作成するのがおすすめ!

ロゴマークの商標登録

ロゴをデザインする際には、まずこれらの種類の中からどの種類のロゴを準備するかを検討すると思います。これらの中で最も汎用的な形は、シンボルマークとロゴタイプを両方作成して組み合わせたロゴマークを準備することです。なぜなら、「ブランドを印象付ける」というロゴの目的を果たすためにはシンボルマークを印象付けることと、ブランド名を読みやすい形で表示するという2つの要件を満たす必要があるためです。シンボルマークとロゴタイプを準備しておくと、用途に合わせて以下のように多様な使い方をすることができます。

  1. シンボルマークのみ使用

  2. ロゴタイプのみ使用

  3. 2つを組み合わせたロゴマークとして使用

また、商標登録という観点でも図形商標としての登録が難しいロゴタイプを保護するために文字商標を登録し、シンボルマークを図形商標で守るといった戦略を取ることができるようになります。

ロゴタイプにフォントを使用する際に確認すべき3つのポイント

シンボルマークはシンプルでわかりやすい形であれば図形やモチーフを使って比較的自由にデザインできますが、ロゴタイプに関しては多くの場合、既存のフォントをもとに作成することが多いです。既存のフォントをもとに、読みやすさを保った上でブランドのコンセプトを表現できるような形に調整していくのです。では、フォントを使用してロゴタイプを作成する際にはどのような点に気をつけると良いのでしょうか?重要なポイントは以下の3つです。それぞれのポイントはフォントのライセンスを確認することで明確にすることができます。

  1. 商用利用が可能であること

  2. 改変が可能かどうか

  3. 商標登録が許可されていること

まずは、商用利用が可能であることを確認しましょう。フリーフォントなどでは、個人利用は許可されているものの商用利用は禁止などといったケースも多いです。

2つ目は改変が可能かどうかです。既存のフォントをもとにロゴタイプを作成する場合には、ウェイトの選択やカーニングといった調整のほかに、タイプフェイス自体の見た目を変更するような装飾を行いたいことも多いと思います。基本的には、フォントをアウトライン化した上で改変し、ロゴタイプの画像として使用することは許可されている場合が多いですが、こちらも念の為ライセンスを確認すると良いでしょう。

最後に、商標登録が許可されているかどうかです。こちらに関しては、前述の通りロゴタイプを図形商標として登録して権利を守るよりも、文字商標としてブランド名自体を保護してしまうケースが多いため、商標登録が許可されていなくても問題ない場合も多いです。しかし、フォントを大きく改変して特殊なデザインにする場合などは商標登録が有効な可能性もあるため確認すると良さそうです。

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ロゴデザインにおすすめの定番13フォントを紹介

ロゴデザインにおすすめの定番13フォント

既存のフォントをもとにロゴタイプを作成しようと思った時にまず迷うのが、どのフォントを使えば良いのかという問題ですよね。フォントは大変多くの種類があるため、どれを選べば良いのか途方に暮れてしまうかもしれません。しかし、実は世の中に存在するロゴタイプの多くはいくつかの定番フォントをもとに作られているケースがとても多いのです。つまり、ロゴデザインに使用するフォントを選択する第一歩として、まずはこれらの定番フォントの中からイメージに近いものを選択し、それをもとにデザインしていくと良いでしょう。

紹介する書体は登場した年代順に並べ、それぞれの書体の解説ではその書体が与えるイメージやロゴとしてよく使われる業界を紹介しているので、作成したいロゴのブランドイメージに照らし合わせて検討してみてください。

1. Didot(ディド) / Bodoni(ボドニ)

Didot(ディド) / Bodoni(ボドニ)

18世紀に生まれたDidotとBodoniは、どちらもファッション業界のロゴでよく使用される書体です。Didotはフランスで、Bodoniはイタリアで生まれ、どちらも細く繊細なデザインが特徴。Didotは、VOGUE, Harper’s Bazaar, Giorgio Armani, Zaraなど、Bodoniは、ELLEなどで使用されています。BodoniはDidotより広いウェイトを揃えていることも特徴です。どちらの書体もファッション業界など、高級感やエレガントな雰囲気を表現したいロゴによく使用されます。

2. Copperplate Gothic(カッパープレートゴシック)

Copperplate Gothic(カッパープレートゴシック)

Copperplate Gothicは、1901年にフレデリック・ガウディによってアメリカで制作されたセリフ体です。力強く洗練されたデザインが特徴です。Copperplateとは銅版を意味する英語で、Copperplate Gothicは銅版印刷時代の書体をベースに作られています。それぞれの文字が正方形に収まるような形をしていることが特徴。Copperplate Gothicは、DEAN & DELUCA, MOLESKINEなどの企業のロゴに採用されています。タイトルでの使用を想定してデザインされているため、小文字が存在しない(小文字と大文字のデザインが同じ)ことも特徴で、法律事務所やレストランなど、伝統や高級感を表現したい場面でも多く利用されています。

3. Futura(フーツラ)

Futura(フーツラ)

Futuraは1923年にバウハウスで非常勤講師を務めたドイツのタイポグラファー、パウル・レナーによって設計されました。このジオメトリック・サンセリフの書体は、OMEGA, LOUIS VUITTON, Volkswagenなどの企業のロゴで使用されています。幾何学的な形状とモダンなデザインは、高級感のあるイメージを与えたいロゴによく使用されます。書体名のFuturaは、「未来」を意味するラテン語に由来。

4. Gill Sans(ギル・サンズ)

Gill Sans(ギル・サンズ)

1926年に英国のエリック・ギルによって設計されたGill Sansは、英国のモダニズム運動の一部として開発され、ヘルベチカよりも先に登場した書体ではあるものの「イギリスのヘルベチカ」とも言われています。BBCやBritish Railwaysなどの英国の企業や政府機関でよく使用されるこの書体は、クラシカルかつプロフェッショナルな外観が特徴です。ヒューマニスト・サンセリフに属し、人間味のある特性と独特の文字形状は、時代を超えたエレガントさを提供します。Gill Sansは、BBC, MARGARET HOWELL, Philipsなどの有名企業のロゴに採用されています。

5. DIN(ディン)

DIN(ディン)

DINは1930年代にドイツで工業用に作られた書体です。書体名も「ドイツ工業規格(Deutsches Institut für Normung)」に由来し、ドイツの道路標識や公共情報表示で広く利用されています。その機能主義的なデザインと清潔な線は、モダンなデザインの要素として多くの企業に採用されています。DINは、ドイツの公的機関のロゴに採用されているほか、日本ではユニクロのロゴとして有名ですね。

6. Helvetica(ヘルベチカ)

Helvetica(ヘルベチカ)

Helveticaは、1957年にスイスのタイポグラファーのマックス・ミーディンガーとエドゥアルト・ホフマンによって設計され、そのクリーンで読みやすい特性から、多くの企業ロゴで使用されています。Helveticaは、サンセリフの代表と言っても良いような時代を超えた普遍的なデザインで、Panasonic, アメリカン航空, エビアン, 無印良品, フランフラン, FENDI, BMW, ノースフェイス, American Apparelなど、非常に多くの業態の企業のロゴで使用されています。主張が強すぎず、中立的な印象を与えたい場合などに最適です。書体名のHelveticaは、「スイスの」を意味するラテン語に由来。「ネオグロテスク」というサンセリフのカテゴリーに属し、モダンデザインの影響を受けたデザイナーたちに長年愛されてきました。

7. Univers(ユニバース)

Univers(ユニバース)

Universは、1957年にアドリアン・フルティガーによって設計されました。この書体は、広範なウェイトと幅のシステムを特徴とし、その中立的な設計が多くのデザイナーに支持されています。UniversはEbay, Fedex, Palantir, UNICEFなどのロゴで使用されており、そのクリアなラインと柔軟性から、コーポレートアイデンティティやブランディングに非常に適しています。Helveticaと同年に誕生し、見た目にも一見似ているこの2つの書体ですが、Helveticaは19世紀のサン・セリフ体を改刻し作られたのに対し、Universは15世紀のローマン体をベースにしています。そのため、Helveticaと比べ少し丸みのあるデザインが特徴で、Helveticaよりも幅広いウェイトを揃えているため、より多様なデザインに利用しやすいです。

8. Optima(オプティマ)

Optima(オプティマ)

Optimaは、1958年にヘルマン・ツァップによってデザインされたドイツのヒューマニスト・サンセリフ書体です。Optimaは古代のローマ碑文に影響を受けており、サンセリフ体でありながら、裾が広がるデザインでエレガントな印象を与えます。Aston Martin, Jaguar, Aesopなどで使用されています。

9. Frutiger(フルティガー)

Frutiger(フルティガー)

Frutigerは1970年代にアドリアン・フルティガーによって、パリのシャルル・ド・ゴール空港のサインシステム用の書体として設計されました。そのため、明快なラインと可読性が最大の特徴です。また、Frutigerはそのシンプルでモダンなデザインから、洗練されたイメージや先進性を与えたいロゴによく使用されます。シャルル・ド・ゴール空港のほか、Flickr, Mastercardなどのロゴで使用されています。

10. Avenir(アベニール)

Avenir(アベニール)

Avenirは1987年に、FrutigerやUniversをデザインしたアドリアン・フルティガーによって制作されました。この書体はFuturaからの影響を受けており、丸みを帯びたストロークと可読性が特徴で、幾何学的なデザインの中にも人間味を感じさせます。柔らかさや親しみやすさを表現したいロゴによく使用され、トヨタ, LinkedIn, Bloomberg, Spotifyなどの企業のロゴに採用されています。

11. Myriad(ミリアド)

Myriad(ミリアド)

Myriadは1992年にロバート・スリムバックとキャロル・トゥインブリーによってAdobe社で設計されました。ヒューマニスト・サンセリフに属し、サンセリフのモダンさを持ちながらも、機械的すぎない人間味があることが特徴。親しみやすい外観と多用途性で知られており、Adobeや2002年から2017年までのApple製品などに採用されています。このメディア、unprintedのロゴもMyriadを使用しています。

12. Gotham(ゴッサム)

Gotham(ゴッサム)

2000年にアメリカのタイポグラファー、トビアス・フレアーとジェシー・ラガンによってメンズファッション誌GQのために開発されました。ニューヨーク、マンハッタンの看板を分析して作られたこのフォントは、アメリカの都市的なデザインの象徴として知られています。力強さと信頼感を感じさせ、Coca-Colaや2008年のオバマ大統領選挙キャンペーンなど、多くの企業や政治キャンペーンのブランディングやマーケティングに使用。日本では三菱UFJフィナンシャル・グループのロゴで使用されています。

13. Proxima Nova(プロキシマノヴァ)

Proxima Nova(プロキシマノヴァ)

Proxima Novaは2005年にアメリカのマーク・サイモンソンによって設計されました。Helveticaの流れを汲むシンプルでモダンなデザインが特徴です。この書体はHelveticaとFuturaの特性を組み合わせたような形を持ち、現代的な印象を与えたい場面に最適です。Mashable, NBC News, Product Huntなどのデジタル企業やメディア、テクノロジー関連企業がこの書体を利用しており、Webデザインやデジタル広告の分野で非常に人気があります。Proxima Novaは、Helveticaよりも少し太めのデザインが特徴で、力強さや親しみやすさを表現したいロゴによく使用されます。また、読みやすさにも優れているため、長い文章を表示するロゴにも最適です。

まとめ

今回はロゴデザインに使用される定番の書体を13種類紹介しました。これらをもとに少し印象を変えたい場合などは、同じカテゴリーの別の書体や、似た書体を探してみるのも一つの手です。以下の記事では、タイポグラフィの基本として、書体の構成要素やカテゴリー、それぞれの与える印象などをまとめていますので、こちらも参考にしてみてください。

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