
アプリで使えるフォントとは?基本は標準フォントを使用する
モバイルアプリをデザインする際には、基本的に各OSに標準搭載されているフォントを使用することが多いと思います。もちろん、アプリ配信用のフォントライセンスを購入してアプリに組み込むことは可能ですが、アプリにバンドルするためのフォントライセンスはダウンロード数によって金額が異なるなど、考慮するべき点も多く標準フォントを使うことのメリットを上回るような導入理由はあまりないでしょう。
iOSとAndroidで使える日本語フォントといえば、それぞれHiragino SansとNoto Sansですね。では、Figmaなどでアプリのデザインをする際にこれらのフォントを使用していれば問題ないのかというと、実は少しだけ注意するべき点があります。
iOS18以降に標準搭載されているのはHiragino Sansの6ウェイト
iOS18以降、デバイスに標準で搭載されているHiragino Sansのウェイト数が増えており、これまでと比べて気をつける点は減ったもののすべてのウェイトが使用できるわけではないという点では注意が必要です。
iOS18現在、デバイスに標準搭載されているのは
Hiragino Sans W3
Hiragino Sans W4
Hiragino Sans W5
Hiragino Sans W6
Hiragino Sans W7
Hiragino Sans W8
の6種類です。
macOSにはW0 - W2とW9も搭載されているため、FigmaなどでUIデザインを作る時にうっかりと使用してしまわないように注意が必要です。
ちなみに、iOS17以前はHiragino SansのウェイトはW3, W5, W7の3種類しかなく、UI上でのフォントのウェイト表現に大きな制限がありました。IOS18からはより多くのウェイトを使用することができるようになり自由度が増した形となります。
iOSは新OSリリース後のバージョン浸透が早い傾向にあるため、アプリ利用ユーザーのOSバージョンを見ながら新たに追加されたウェイトを取り入れて行っても良さそうです。
Android 15ではNotoSansCJKがバリアブルフォント化
Androidにおいては、サードパーティーデバイスによっては標準搭載のフォントが異なるため一概にいえない難しさがあるものの、Android 15にてNotoSansCJKのバリアブルフォント化が行われています。
バリアブルフォントとは、太さや字幅などのパラメーターを自由に調整できるフォントフォーマットで、NotoSansCJKがこれに対応したことによって、対応するAndroid端末では標準搭載の日本語フォントでいかなるウェイトにも対応できるようになりました。
Android 15以前はRegular と Boldの2種類のウェイトのみ提供されており、ウェイト表現の幅がかなり制限されていたため、NotoSansCJKのバリアブルフォント化は日本語UIを作る私たちにとっては大きな改善となりました。
Noto Sansに関してはそもそも自由度の高いSILオープンフォントライセンスにて提供されているため、必要なウェイトを含めてアプリにバンドルしているというケースも多いと思います。Android 15は2024年10月15日にリリースされましたが、サードパーティーデバイスへのロールアウトや既存のレガシーデバイスへの対応を考えると、Noto Sansをバンドルするという選択肢は未だ残りそうです。